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2012年7月

2012年7月23日 (月)

涼風家シネマクラブ■玩具修理者

監督/はくぶん
キャスト/田中麗奈、忍成修吾、大平奈津美、姿月あさと、美和明宏、ほか。
2001年/47分/日本

 小林泰三の短編小説で、第2回日本ホラー小説大賞受賞作品。
 子供たちだけが知る「玩具修理者」に死んでしまった弟の修理(生き返らせる)を依頼した少女の奇妙な話。
 監督のはくぶんはCG界の第一人者と紹介されているところもあり、本作が劇所初作品となり、本編でもCG合成が多用されている。また合成だけではなく照明も独特の雰囲気を醸しだしていて幻想的な本編の雰囲気を特徴づけている。
 玩具修理者は子供たちのあいだで「ようぐそうとほうとふ」は呼ばれており、これは「クトゥルー神話」に由来する。
 壊れた玩具をなんでも直してくれるという玩具修理者に、子供たちは死んだ猫を生き返らせて欲しいと依頼したりもするが、修理者は複数の修理を一度に行うのでときどき部品が混ざったりもする。
 ところで本作では「人とモノの境界線」が繰り返し語られる。人とモノを隔てるものは何か、人とモノはなにが違うのか…。弟を生き返らせてもらった少女はやがて大事なことに気がつき、それを確かめようと弟に会うのだが…。
 全体にゆったりとした雰囲気が漂い、美和明宏による玩具修理者のモノローグがそれを増幅している印象もある。主な舞台となるアイティークトイの店も外界と時間の流れが違っているような印象だし、ストーリーの大半は主人公の回想なのでリアルタイムの時間の流れを感じない作品となっている。画面は美しく幻想的で、作り手によってはグロいスプラッターにもできるところをファンタジックに仕上げている。
 もともとがホラー小説大賞作品ということで、ラストにもショッキングな映像が登場するのだが、全体としては幻想的な作品と言っていいだろう。強いて言えば全般的に平均した調子で演出されている印象で、インパクトのあるシーンが乏しかったという感じはある。もっともそこがはくぶん監督の個性ではなかったのかという気がしないでもないのだけれど。

2012年7月21日 (土)

涼風家シネマクラブ■ろくでなし稼業

監督/斎藤武市
キャスト/宍戸 錠、二谷英明、吉永小百合、南田洋子、金子信雄、ほか。
1961年/日本/53分

 宍戸 錠の主演第一作。
 とある港町に、貨車に無賃乗車してやって来た矢野(宍戸)は同様に貨車から降りてきた黒田(二谷)と意気投合し行動をともにするようになる。そして大栄海運という会社の裏の仕事(ボロ船を故意に沈没させて保険金を搾取する)を引き受けたふたりは、この会社の前社長の息子に成り済まして一儲けしようとするのだが…。
 主演第一作とは思えない宍戸 錠の堂々とした演技が光る一本。金子信雄の悪役もいいし、タイプの違う二谷の共演も成功している。
 今回、この作品と同じ宍戸主演の『早射ち野郎』を続けて観たのだが、キャスティングがよく似ていた。悪役に金子というのはいいとしても、キャバレーの女に南田が両作品で出演していて、両作品とも宍戸にべた惚れしてしまうというところも同じなのは、当時のアクション映画の「お約束」の部類なのだろうか。
 作品に登場する港町(セットの中の)は、貸本劇画の世界を彷彿とさせるが、お互いに影響し合っていたような気がしないでもない(もちろん劇画の方が映画からの影響が強かったはずではあるが)。
 二転、三転するどんでん返しにテンポのいい演出と娯楽映画として楽しめる作品である。

2012年7月20日 (金)

涼風家シネマクラブ■魔界転生(平山版)

監督/平山秀幸
キャスト/窪塚洋介、佐藤浩一、麻生久美子、黒谷友香、吹石一恵、柄本 明、中村嘉葎雄、ほか。
2003年/105分/日本

 90年代にオリジナルビデオとして映像化されてもいるが、劇場映画としてはこれがリメイク版といえる。
 深作版よりは原作に近い内容になってはいるが、やはり窪塚演じる天草四郎が魔界衆のリーダーという点では原作をアレンジしている。もっとも転生シーンではCGも駆使して原作に近い描写が見られる。
 主要な俳優陣に窪塚、佐藤、そして杉本哲太が起用されているのだが、この三人、個性的といえば聞こえはいいが、なにを演じても同じという印象がある。本作でも窪塚の天草四郎、佐藤の柳生十兵衛であり、天草四郎を演じた窪塚、十兵衛を演じた佐藤という言い方はしにくい。
 映画本編は程よい緊張感で最初から最後まで一気に楽しめる。深作版も好きなのだが2時間を越える長さもあり、この平山版のほうが回数的には繰り返し見ている気がする。
 81年版と同様、東映京都の制作で、特撮は特撮研究所が担当。特撮監督は佛田 洋(81年版は矢島信男)。
 81年版では首を刎ねられた天草四郎が、自分の首をわきに抱える抱えるシーンもあったが、今回の窪塚は、映画冒頭で首を刎ねられ殺されるシーンはあるものの、そのほかでは首だけとなるシーンは出てこなかった。
 また本作では宮本武蔵を長塚京三が演じていて奥義に達した剣術家の雰囲気をかもしだしているが、セリフの重厚感は81年版の緒形 拳に軍配が上がるのではないだろうか。
 81年版では千葉真一演じる柳生十兵衛と天草四郎を演じた沢田研二に注目が集まったわけだが、本作も天草四郎を演じた窪塚洋介まずありきという印象がある。沢田研二より少年であった天草四郎に近い印象にはなったと思うが、このキャスティングがベストだと感じる人は少ないのではないだろうか。
 

2012年7月19日 (木)

涼風家シネマクラブ■チンパオ

監督/田中新一
キャスト/田村高廣、岩崎ひろみ、金山一彦、大浦龍宇一、徐可心、禹天姿、根岸季衣、ほか
1999年/日本・中国合作/94分

 日中平和友好条約締結20周年を記念して企画された映画である。戦後60年の今あらためて見てほしい作品だ。
 物語は戦時中の中国大陸と、戦後50年が経った熊本が舞台である。戦争中の体験を胸に秘めたまま、故郷の熊本で暮らしてきた相澤(田村高廣)は、忘れられない出来事と、それに深く関わった堀軍曹(金山一彦)の思い出を辿るために、中国・桂林へと旅立つ。
 日本が中国に対して行った戦争という凄惨な行為と、兵士としてその場にいた者が戦後数十年間背負い続けてきた罪の意識がこの映画では描かれる。「戦争」が悪いのであって、ひとりの兵士でしかない主人公が罪を負う必要はないと相澤の孫娘(岩崎ひろみ)は言うが、その戦争をしていたのは自分たち兵士だと答える相澤。そして相澤が戦場で体験した、中国人の幼い兄妹とのエピソードが語られていく…。
 戦争末期、食料も不足しがちな日本軍は周辺の村を襲い食料の略奪を繰り返していた。抵抗した村人を射殺することもあり、中国人からさらに憎まれる日本軍のひとりとして相澤はそこにいた。ある日、村にいた子牛を手に入れた相澤たちだったが、その子牛を育てていた幼い兄妹、チンパオとチンホイは子牛を取り戻そうと日本軍の部隊まで追いかけていくのだった。ふたりを説得し村に帰そうとする相澤だが、兄妹の意志は堅く戻ろうとしない。やがて子牛の世話をするということで部隊内の出入りも許される兄妹だが、戦争は束の間の平和さえ許してはくれない。本隊が苦戦し、朝鮮半島まで転進することとなり、相澤の部隊もその地を離れることになった。敵に追われ逃げるように部隊にやって来た中隊長は、子牛を処分し食料にせよと命令を下す。しかし敵を前に逃げることをよしとしない堀軍曹とのあいだでいさかいが起こり子牛と兄妹を逃がした堀軍曹は、上官に逆らったということで射殺されてしまうのだった。
 人が人としての優しさを見失う、戦場という極限状態の中で体験したこの出来事を、相澤は忘れることなく50年の年月を過ごしてきた。毎年、堀軍曹の墓参りを欠かさなかったが、初めて親族と顔を合わせ、墓の中には遺骨がないこと、上官に逆らったとして親族とは別に見すぼらしい墓が建てられていることを知らされ衝撃を受ける相澤。中国への旅は、堀軍曹の遺骨を探す旅でもあったのだ。
 これは映画であり真実ではない。が、戦争というものの悲惨さ、残酷さをこの映画で考えてみてほしい。
◆DVD発売/JVD

初出/「微熱」05年11月号・セブン新社刊

2012年7月18日 (水)

涼風家シネマクラブ■魔界転生(深作版)

監督/深作欣二
キャスト/千葉真一、沢田研二、佳那晃子、緒形 拳、若山富三郎、室田日出男、丹波哲郎、真田広之、ほか。
1981年/122分/日本

 角川映画で横溝正史、森村誠一郎ブームを作った角川春樹が、今度は山田風太郎の忍法小説ブームを角川文庫で復活させていた時期の作品。というより、この映画がキッカケで角川文庫版の山田風太郎作品は盛り上がったといえる。当時すでに刊行済みだった本原作文庫も、映画化に合わせて辻村ジュサブローの人形を表紙にして大々的にキャンペーンも展開していた。
 さて、原作をお読みの方は本作がかなり脚色されているのはご存知のことだろう。江戸幕府転覆を企む魔界衆のリーダーが沢田研二演じる天草四郎になっているわけだが、原作に於ける四郎の扱いは一魔界衆にすぎない。また転生の方法自体も原作にあるような描写は登場しない。
 本作の魅力をザックリと言うのであれば、沢田研二の天草四郎、千葉真一の柳生十兵衛、そして邦楽をベースにした音楽ではないだろうか。千葉の十兵衛は実にハマッていて、この人のほかに十兵衛はありえないのではないかと思えるほど。沢田の天草四郎も妖艶な雰囲気がいい。もっとも本来の天草四郎は少年のはずなので沢田研二では多少年齢的な矛盾はあるのだが。公開当時は沢田研二と、霧丸役の真田広之のキスシーンも話題になった。
 全般として伝奇時代劇という内容の本作であり、ところどころに特撮も使用されている。特に天草四郎は首だけとなるシーンが冒頭と終盤にある。特撮を担当したのは東映でジャイアントロボなどに携わった特撮研究所。クライマックスの江戸城炎上シーンなどは見事である。
 最後に、細川ガラシャ役の佳那晃子も本作の見どころのひとつといっておこう。

2012年7月17日 (火)

涼風家シネマクラブ■サマータイムマシンブルース

監督・プロデュース/本広克行
キャスト/瑛太、上野樹里、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、真木よう子、永野宗典、本多 力、ほか
2005年/日本/107分

 とある地方の大学にあるSF研究会。そこは元々カメラクラブだった部室で、現在カメラクラブの女の子ふたりは廃部の危機にさらされながら、暗室で活動を続けている。そしてSF研のメンバーをモデルにして作品を撮影することも…。 そんな夏のある日、とんでもない事件が起こってしまうのだ!
 本作品は、劇団「ヨーロッパ企画」が元々舞台で演じていたもの。それを見た本広監督が気に入り、作者である上田誠に映画用の脚本を依頼、制作が始まったということだ。
 そういわれてみると部室を中心にしたストーリー展開など、舞台劇的な雰囲気である。監督は舞台の面白さをなるべく再現したかったようだから、その意味では成功しているだろう。
「タイムマシン」という小道具(大道具か?)を使っているため物語の構成はちょっと複雑である。最初のシーンで起こるいくつかの不思議なことが、じょじょに明かされていくということになるのだが、その中にはラストシーンにつながる部分も含まれている。
 なかなか考証的にSFしてる部分もあるのだが、全体としては出てくる要素のそれぞれがすべてつながってしまうというご都合主義的なところもあって、その意味でも舞台的な印象を受ける。あるいは深夜枠のバラエティーか。ともかく細かいことはヌキにして楽しんでもらいたい映画ということは言える。特別笑いを狙ったシーンというものはないのだが、全体として安心して笑える映画になっているで、何も考えず登場人物たちのドタバタを楽しんでほしい。
 劇中、タイムマシンは25年後の世界からやって来る。大学があるという町をSF研のメンバーたちが案内すると「変わってないですねえ」と未来から来たSF研の後輩はいうのだが、この町がまた都会に住んでる者にとっては懐かしい光景に思えてしまうような場所。ロケは香川で行われたようだが、のどかで実にいいのである。ある意味、この舞台となっている町に観ているわれわれがタイムスリップしてしまっているのかもしれない。

初出/「微熱」05年10月号(セブン新社刊)

2012年7月16日 (月)

涼風家シネマクラブ■透明人間

監督/小田基義 撮影・特技指導/円谷英二
キャスト/河津晴三郎、三條美紀、土屋嘉男、高田 稔、ほか。
1954年/70分/日本

 東宝が『ゴジラ』に続いて制作した特撮作品で、のちの『ガス人間~』や『液体人間』など「変身人間シリーズ」の先駆的作品とされている。
 透明人間というアイデア自体は小説、また海外の映画からのものだが、第二次大戦中の日本軍の秘密特攻部隊として作られたものと設定。透明化する理由も科学的な説明がなされている。
 観客の興味としては、透明人間の映像的な表現だと思うが、合成もよくできていて感心した。もちろんこれはモノクロ作品ということも功を奏していたと思う。
 またストーリー自体も、透明人間の悲哀がよく描かれていて心に残る名作といっていい。
 このあと東宝特撮作品には頻繁に登場する土屋も、新聞記者役で登場し、前半では土屋が主役かと思うくらいの活躍ぶりである。のちに『ガス人間』として登場するのも、あるいはこの作品が伏線になっていたのかもしれない。
 第一作『ゴジラ』同様、モノクロ作品ということもあってかテレビ等で放映される機会も少なく(というより個人的には放映されたという記憶はないのだが)、ビデオ化、DVD化でようやく鑑賞できたという特撮ファンも多いのではないかと思う。作品自体の完成度の高さからいえば、これは非常に残念なことだったのではないだろうか。
 特撮に関していえば、透明人間の表現のほか、派手な合成はないように思っていたところ、クライマックスで突然、ガスタンクが爆発するというシーンが登場。このあたりの合成も違和感のない仕上がりになっている。
「変身人間シリーズ」がそうであるように、この『透明人間』もストーリーの根底にある人間としての愛憎がうまく表現されているので、特撮ということだけではなく、一本の映画として未見の方にはぜひ観ていただきたい作品である。

2012年7月14日 (土)

涼風家シネマクラブ■花田少年史~幽霊と秘密のトンネル

監督/水田伸生
原作/一色まこと(講談社刊)
キャスト/須賀健太、篠原涼子、西村雅彦、北村一輝、安藤 希、杉本哲太、もたいまさこ、ほか
2006年/日本/123分

 深夜枠でテレビアニメ化もされた同名コミックの実写映画です。
 夏休みの公開だけに幽霊が出てくることを強調している印象があるけれども、内容自体は親子、家族の愛を描いています。
 主人公の花田一路は、母親と大喧嘩するようなわんぱく坊主。しかし交通事故で頭を打ってから、幽霊が見えるようになってしまいます。そして、幽霊たちが、現世でできないことを一路に頼みに来るのです…。
 物語は一路の両親の過去や、親友・荘太の母と、クラスの女傑・ケイの父の再婚にまつわるエピソード、一路に近づく「本当の父」と名乗る弁護士の幽霊、そして一路の近くでなにかと助けてくれる香取聖子という女子高生の幽霊が絡み合って、少年・一路が成長していく姿を描いています。
 ときには笑わせ、ときには脅かし、そしてクライマックスでは涙を誘う、家族で鑑賞できる作品といえるでしょう。
 ところで、弁護士の幽霊として登場する北村一輝、どうも顔と名前が覚えられないわたしは「見たことあるなあ」なんて感じだったのですが、ふと不気味な笑みを見せるシーンがあり、思い出してしまいました。『ゴジラ・ファイナル・ウォーズ』で「X星人」を演じていたではありませんか。今回も人間役ではありませんでした。しかしイケメンでありながら、宇宙人やら幽霊やらになりきっちゃう北村一輝、なかなかイイですね。
 篠原涼子の母親役も、どうかなという感じだったのですが、観ていて違和感なく母親を演じていました。が、やっぱりルックスのキレイさと若さは、最後まで「母親」という実感を出せなかったところも。演技の面でよかっただけに残念です。
 主人公・一路を演じるのは『ALWAYS 三丁目の夕日』の須賀健太。坊主頭にした彼は、原作コミックの印象そのままという感じです。
 8月19日、全国公開。家族そろって映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか? ちょっと温かい気持ちになれると思います。

「微熱superデラックス」06年8月号掲載

2012年7月13日 (金)

涼風家シネマクラブ■空の大怪獣 ラドン

監督/本多猪四郎、特技監督/円谷英二
キャスト/佐原健二、白川由美、平田昭彦、ほか。
1956年/82分/日本

『ゴジラ』に続く大怪獣として、怪奇実話などで知られる作家、黒沼 健に原作を依頼して誕生した作品。ちなみに東宝特撮作品では初のカラー撮影でもある。
 原作にあたる黒沼 健の『ラドンの誕生』は映画公開に先だって「中学生の友」昭和31年10月号の付録として発表されたが(映画公開は同年の12月26日)、香山 滋が『ゴジラ』の小説版でしたように、黒沼も主人公を少年に設定するなど映画本編とはところどころ違う点もある。また小説版では古代生物であるラドンが現代に蘇る理由として地球の温暖化を大きく取り上げているが、映画本編では理由として弱いと見たのか、「地球が温暖化しているようだ」というセリフにとどまっている(加えて平田昭彦演じる古生物学者の推論として核兵器の影響をあげている)。

 ストーリーは、九州・阿蘇山近くの炭鉱に始まり、炭鉱に事故が起こり、行方不明者や捜索に入った人々が鋭い刃物のようなもので殺されているのが発見される。行方不明となっている男のひとりが犯人と目されたが、実はメガヌロンという古代昆虫の幼虫の仕業だったことがわかる。
 炭鉱内でメガヌロンを退治しようとしたとき落盤が起こり、主人公である河村は行方不明となってしまう。ところがしばらくして阿蘇山付近で起こった深度の浅い地震によってできた陥没地帯で河村は発見される。しかし河村は記憶をすっかりなくしていたのだった。
 同じころ航空自衛隊が未確認の超音速飛行物を発見。追跡するものの飛行物体のために撃墜されてしまう。飛行物体は九州を中心に周辺の空で目撃され旅客機が墜落するなどの被害も起こるのだった。そして阿蘇火口付近で行方不明になったカップルが落としたカメラに移されたフィルムから巨大な生物の羽のようなものが確認されるのだが…。
 記憶をなくした河村は文鳥の卵を見て、落盤事故のあと迷い込んだ地下の空洞で巨大な卵から孵る生物と、その生物がメガヌロンを餌としてしていた光景を思い出すのだった。
 そしていよいよハッキリとその姿を現したラドンは戦闘機の攻撃により福岡の街に降下、多大な被害をもたらすのだった。
 戦車や戦闘機による攻撃の中、もうひとつの飛行物体が福岡に飛来する。ラドンは2匹いたのだ。
 阿蘇火口の洞窟の中を巣とするラドンに対して、決死の攻撃が始まる。
 
 鳥型の巨大生物は造型的にも撮影的にも難しいようで、円谷作品でも鳥型の生物が登場するとどうも「作り物」的に見えてしまうことが多い。が本作においてはそうとうな努力があったようで、少なくともぬいぐるみアクターが入った状態でのシーンでは翼のある巨大生物が違和感なく鑑賞できる(ところどころ頭を支えるピアノ線が見えてしまうのは残念だが)。
 またラドンの羽ばたきによる風圧で建物などが吹き飛ばされるシーンは、その後もゴジラ作品やウルトラシリーズなどでも流用されている見事な撮影である。
 佐原健二はこれが初主演作品。撮影の裏話などは『素晴らしき特撮人生』という自叙伝にも語られている。もっとも苦労したという記憶喪失状態の演技も初主演とは思えないしっかりしたものだった。

2012年7月11日 (水)

涼風家シネマクラブ■妖怪大戦争(2005年)

監督/三池崇史
キャスト/神木隆之介、宮迫博之、菅原文太、近藤正臣、阿部サダヲ、高橋真唯、忌野清志郎、岡村隆史、竹中直人、豊川悦史、栗山千明、ほか。
2005年/124分/日本

 最初にことわっておかなければいけないのは、本作はオリジナル版ではなくテレビ放映版で鑑賞したということ。実は物語の重要なキーワードの部分や結末がカットされていたほか多数の妖怪の登場シーンも放送されなかったようである。
 さて、本作は1968年の大映映画『妖怪大戦争』のリメイクとされている。しかしながらタイトルと妖怪軍団が悪の妖怪に挑むという基本構成をのぞいてはまったくのオリジナルであり、本作に関していえば「リメイク」をうたうことでマイナスの印象を与えているのではないかと思われる。金子監督の『ガメラ~大怪獣空中決戦』のように、同じシリーズの新作として見た方がいいだろう。
 時代設定を現代に移しているが、田舎の祭りに内包されるかつての伝説から主人公のヒーロー性を描き出すあたりはなかなかうまい。とはいえ、妖怪と機械を合成した機怪や、悪の首領として加藤保憲を持ち出すあたりはいただけない。豊川悦史は加藤をうまく演じていたが、どうしても嶋田久作じゃない加藤には違和感があるし、機怪に至ってはターミネーターやらほかの特撮だったりアニメだったりのイメージの合成みたいで白けてしまう。
 クラスメイトから弱虫やら泣き虫とからかわれる主人公が、妖怪の助けを借りながら必死で戦うところはこの手の映画の定番ストーリーともいえるが、主人公の少年の心を奮起させるものがもうひとつ伝わってこなかったのは、テレビ版でカットされたシーンに理由があるのだろうか。
 妖怪の造形は、大映作品を再現しつつ最新の技術を用いている感じ。また3000人ものエキストラを動員してのシーンは圧巻でもある。
 元作品である68年の『妖怪大戦争』その前の『妖怪百物語』は怖さの中にユーモラスなシーンがあったという印象だが、本作ではユーモラスな中にアクションシーンが挟まれているという印象で、雰囲気はまったく違っている。時代的に妖怪で怖がる子供も少ないのだろうが、もう少しおどろおどろしい雰囲気も出してほしかった気がする。

2012年7月10日 (火)

シネマニュース■大恐竜時代 タルボサウルス vs ティラノサウルス

大恐竜時代 タルボサウルス vs ティラノサウルス
10/13(土)より全国のワーナー・マイカル・シネマズにて公開決定!!

『TARBOSAURUS(原題)』の邦題が『大恐竜時代 タルボサウルス vs ティラノサウルス』に決定。10月13日(土)より全国のワーナー・マイカル・シネマズにて公開の予定です。
『ライフ-いのちをつなぐ物語』、『アース』といったネイチャードキュメンタリー映画を凌ぐ、全く新しい恐竜ドキュメンタリー映画の登場! 歴史的考証に基づき8千万年前の白亜紀を忠実に再現したのが本作『大恐竜時代 タルボサウルス vs ティラノサウルス』です。『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影地でもあるニュージーランドでオールロケーションを決行。ハリウッドで技術を磨いたスタッフが勢ぞろいし、実写さながらのリアルな恐竜たちをCGアニメーションで表現。また、出演する恐竜も17種類80頭という映画史上最多の数を誇り、タルボサウルス、ティラノサウルスといったメジャー恐竜はもちろん、アジアで発見された珍しい種類まで世界各国の恐竜が集まった。
 スクリーンにいっぱいに広がる恐竜ワールドはまさしく、動く大図鑑! かつて恐竜にときめいたお父さんから、いままさに恐竜ど真ん中な子供たちまで興奮できる大迫力な映画です。

映画『大恐竜時代 タルボサウルス vs ティラノサウルス』
監督:ハン・サンホ
日本語吹き替えナレーション:小松史法、松元恵
2012年/韓国/90分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/日本語翻訳:李静華/原題:TARBOSAURUS/提供:CJE&MCorporation/配給:CJ Entertainment Japan
c 2012 OLIVE STUDIO, EBS, DREAM SEARCH C&C ALL RIGHTS RESERVED
公式HP:tarbo-movie.com

涼風家シネマクラブ■ニュータウン物語

監督/本田孝義

 岡山県にある山陽団地。ここが監督の本田孝義が育った街である。大学進学と共に東京に出て以来ほとんど帰ることのなかったその場所に、監督はカメラを携えて戻ってきた。
 高度成長期にあって「ニュータウン」は希望の街として注目を浴びていた。それがいつしか批判の対象となり、現在では高齢化が進む深刻な状態だ。
「ニュータウン」育ちの監督が、「ニュータウン」とはなんだったのかを問う、というと大上段に構えすぎだろうか。しかし結果はどうであれ、当初の興味はそのことだったようだ。そして旧友たちに再会しながら当時の「ニュータウン」のイメージを探ることから始めていく。
 そう、これはドキュメンタリーなのである。監督はこの作品の前にも『科学者として』というドキュメンタリーを制作する一方、美術館で作品を発表するなどしている映像作家。
 作品中、監督自身が「自分の影を探しているのかもしれない」と独白しているように、映画は「ニュータウン」の姿を描きながらも監督自身の生い立ちをなぞっていく。
 山を切り開いて家を建て、団地を造り多くの人々がそこに移り住む…。全国各地の「ニュータウン」がそうであるように山陽団地も、働き盛りのころに入居してきた人々によって、新しい街としての歴史を誕生させたが、「ニュータウン」は居住者の年齢とともに疲れてしまったかのようにさびれて見える。
 ここに育った子供たちの多くはよその土地に出て行き、残ったのは親たちである。数十年のローンを払い手に入れた土地と建物。1から築き上げた地域社会。しかしそれらは受け継がれることはなかったのかもしれない。
 地方のとある街でありながら、全国どこにでもある歴史と問題を持っている、それが「ニュータウン」なのかもしれない。またかつては地域が一体となって協力し合っていたが、現在ではそれが壊れてしまっているという点では、日本が抱える問題を代表しているようでもある。 監督はこの映画の制作と平行して、山陽団地をテーマにしたアート展を企画・実行する。映画の終盤で描かれるこのイベントの風景は、日本が活気を取り戻すきっかけとして投げかけられているようにも感じられた。
 しかし、本来はもっと気軽な気持ちで見るべき映画なのかもしれない。

「微熱(セブン新社・刊)」04年 月号掲載

2012年7月 9日 (月)

涼風家シネマクラブ■東海道お化け道中

監督/安田公義、黒田義之
キャスト/本郷功次郎、戸浦六宏、穂積ぺぺ、古城門昌美、左 卜全、ほか。
1969年/78分/日本

 怪奇特撮時代劇シリーズの第三作目は股旅物。
「鬼塚」と呼ばれる妖怪を祀った塚守りが、年に一度日本中の妖怪が集まるといわれる日に、塚でやくざの刃傷沙汰に巻き込まれ切られてしまう。この場所で血を流してはいけないと何度も忠告した上でのことだった。自分の不正を暴かれるのを恐れた勘蔵と、その子分たち「火車組」は、その直後から怪異な現象に襲われ、告発する書状を見失ってしまう。たまたまその近くにいた塚守りの幼い孫娘、美代がそれを持っているのではないかと追うのだが、美代は塚守りのいまわの際に聞かされた父親を訪ねて東海道を一人旅するのだった。
 そんな美代と知り合い父親の元まで送ろうとするのが、不正を告発しようとして勘蔵に殺された仁兵衛の子分、百太郎。百太郎自身も勘蔵の手下たちに命を狙われながら、美代とともに東海道を旅していく。
 妖怪は、第一作『妖怪百物語』同様、人間の身勝手さや強欲に対して祟っているようだ。もっとも本作のストーリー自体は美代の父親探し的なものが主体で、妖怪はどこか取ってつけたような印象もないではない。もう少しストーリー自体に絡んでいたらという気がしてしまう。
 登場する妖怪の大半は前作、前々作に登場したもので、本作が初登場というものは少ない。主演の本郷功次郎はガメラ、大魔神、そし妖怪シリーズと大映特撮作品を総なめという感じ。もっとも本作公開時に併映だった『ガメラ対大悪獣ギロン』には出演していなかった。個人的には本郷より戸浦の印象が強い。仁兵衛の子分で百太郎の弟分でもありながら、勘蔵の側に付く複雑な役柄ということもあるが、戸浦六宏という俳優の演技を堪能できる一本でもあるように思える。
 ラストシーンはシリーズを通しての百鬼夜行的なものになってはいるが、本作では「鬼塚」に消えていくということで夜行というには少し趣向が違っているような気もする。本作を加えて「妖怪三部作」とされているわけだが、登場する妖怪がかぶっているという点をのぞけば、タイトルに「妖怪」が付かないこともあり独立した作品と見られないわけではない。あえていえば「妖怪三部作」以外に作られた『四谷怪談』などの怪談映画とオリジナル作品である「妖怪シリーズ」の中間に位置するようなものではなかったのではないだろうか。なんといっても前作、前々作に見られたユーモラスなシーン(妖怪絡みの)がないというのが大きな違いだろう。

2012年7月 7日 (土)

涼風家シネマクラブ■船、山にのぼる

監督/本田孝義
2007年/日本/88分

 ダム建設と聞くと、どうも無駄な公共事業という印象になってしまうのは「脱ダム宣言」なんていうのが流行語のように広まってからだろうか。
 とはいえ確かに必要なダムもあり、新たなダム建設も行われている。
『船、山にのぼる』というなんとも不思議なタイトルのこの映画は、広島県の灰塚地域のダム建設にまつわるドキュメンタリーである。ダム建設の計画自体は40年ほど前に提示されたものだったが、水没する地域の住民による反対運動もありすぐには着工されなかった。が、水害が起こったことで住民の考えも変わり、工事が進められることになる。
 ダムによって水没する地域の住民は、新たな土地を与えられて移り住むことになるのだけれど、単に家を建て直すだけではなく、庭木にいたるまですべてを移転させる。つまり地域をそのまま移転させるというわけだ。その中で、伐採される山の木々をなにかの形にして残そうとしたのが「船」だ。
 もともとは建築家やアーティストなどを集めた「アースプロジェクト」というものの中でだされた案のひとつになるのだが、紆余曲折の末、発案者の「PHスタジオ」が中心となって計画が進められることになる。水没地のそこになる場所から、水位の上昇を利用して船を浮かし、山の上に移動させて、水位の減少によって山の上に船を乗せるというものだ。
 ダム建設の反対運動ではなく、ダム建設を受け入れた地域の記録といった趣のドキュメンタリーであるが、生まれ育った土地が湖の底に沈む住民たちにとって「船」がどういう意味を持つのか、映画はやがてそこに焦点を当てていっているように思う。正直、まったく関係のない第三者から見れば「船」になんの意味があるのかわからないかもしれない。単に伐採された材木で巨大な(船は60メートルほどある)オブジェを作ってみただけのようにも見えるのだ。
 住民にとっても最初はそうだったかもしれない。計画当初は地域住民も無関心だったからだ。けれどやがて「船」は、地域住民のなにかを象徴する存在になっていく。船が山に昇る姿をしっかりと見つめてほしい。

2012年7月 6日 (金)

涼風家シネマクラブ■妖怪大戦争(1968年)

監督・特技監督/黒田義之
キャスト/青山良彦、川崎あかね、神田 隆、大川 修、戸浦六宏(語り)、ほか。
1968年/79分/日本

 前作とはうって変わってエンターテインメントに徹した活劇として構成された、シリーズの中でも特に知名度の高い本作。監督は本シリーズ、『大魔神』シリーズで特技監督を担った黒田義之で、本作では本編と特撮を兼ねている。
 古代バビロニアの吸血妖怪ダイモンがよみがえり、海を越えて日本へやってきた。代官・磯部兵庫の姿を借り次々と人の生き血を吸っていく。
 代官の屋敷の池をねぐらにしていた河童がそのことに気づいたが、ダイモンに追い払われ日本妖怪の助けを借りることに。しかし油すましたちの手を借りては見たもののダイモンの力は強大で倒すことができない。
 一方、代官に仕える真山新八郎は叔父の祈祷師から代官が妖怪に命を奪われていることを知らされ、妖怪を退治しようとするのだが、ダイモンの妖力は祈祷師の命まで奪ってしまう。祈祷師に託された弓でダイモンの目を射抜き、妖怪を倒したように思えた新八郎だったが、新しく赴任してきた代官に姿を変えたダイモンのため、処刑を宣告されてしまうのだ。
 関西弁の油すましなど妖怪たちの方言で日本各地から集まっていていることを匂わせるなどの演出もいい。日本の妖怪が結集するあたりは子供たちには楽しみなシーンだろうし、善の妖怪と悪の妖怪という分かりやすい構図もよかったのだと思う。ただ日本の妖怪が総動員で立ち向かわなければ勝てないダイモンの強さが目立ってしまったのは個人的にはちょっと残念な気がしないでもない。
 ダイモンは大魔神同様、目だけは俳優の目をそのまま生かした造形。作り物の眼球でない凄味は大映ならではというところか。演じたのも大魔神と同じ橋本 力。
 前作の好評を受けて急遽制作が決まった本作は、前作と同年の冬休みに公開された。併映は『蛇娘と白髪魔』。ホラー作品の2本立てということからも怪獣ブームが去っていたことがうかがわれる。
 巨大な怪獣が暴れる作品とは違って等身大の妖怪が活躍する本作で目立った特撮・合成というと、やはりダイモンが分身するシーンとなるだろうか。また本作でもラストシーンの百鬼夜行が幻想的に描かれ余韻を残している。
 妖怪がセリフをしゃべるのはシリーズ3作のうちでも、実は明確なものはこの『妖怪大戦争』だけ。妖怪と人間の関わりという点でも他の2作とは一線を画しているようなところがある。
 まずは気楽に本作を楽しみ、2回目、3回目に上記のようなことに気を留めて鑑賞してみるといいかもしれない。

2012年7月 5日 (木)

涼風家シネマクラブ■愛なくして

監督/高林陽一
キャスト/藤沢 薫、木元としひろ、遠藤久仁子、栗塚 旭、浜崎麿吉、ほか

「魂のシネアスト」と呼ばれる高林陽一監督の特集上映で、16年ぶりの新作長編『愛なくして』が公開される。
 といいながら、高林監督に関してまったく予備知識があるわけではない。ないのだが、過去の作品をたどってみると、『蔵の中』『雪華葬刺し』など、個人的に好きな映画が含まれていることを知り驚いた(それ以前に監督名くらいチェックしておけって感じですか)。
 いったんは映画界からの引退も考えての沈黙だった16年の間を置いて制作された『愛なくして』は、妻を亡くしその先の人生に張り合いをなくした老人を中心にストーリーが進行する。知り合いの医者に安楽死を頼み込み、妻との思い出の場所を辿る老人。また夫に先立たれ、生前には感じることもなかった夫への思いを、その死の直前から実感し、立ち直ることができない未亡人。若くして不治の病を宣告される青年。中年男性の自殺を目撃してしまう若いカップル…。登場する人物達は、いつか来る死ではなく、いま目の前にある死と向き合う。
 タイトルの『愛なくして』も、愛を無くしたことと、愛がなければ、という二重の意味に受け取れる。
 映画は必ずしも死を肯定しているわけではない。愛するパートナーを亡くしても、思い出を胸に生きていくことを説く僧侶も登場する。そしてなによりもラストシーンに若いカップルのキスをもってきているところに、死があるからこその生を謳っているように感じられるのだ。 取り立ててドラマティックな展開があるわけでもなく、派手なアクションがあるわけでもない。見る人によっては説教臭く感じるかもしれないが、ジワっと心に染み込んでくる作品だ。
 高林監督は自主制作の8ミリ作品をかわきりに、自主制作映画と商業映画のあいだを行き来していたという。先に挙げた2作のほか、ATGの『金閣寺』『本陣殺人事件』などの代表作もある。
 今回、試写会で8ミリ時代の『石ッころ』という35分の作品も見ることができた。モノクロ、サイレントのシュールな作品だったが、イタリア・モンテカティーニ・アマチュア国際映画祭で金賞を受賞しているだけあって、記憶に残る作品だった。
『愛なくして』は高林監督がわたしたちに突きつけた死への覚悟かもしれない。

「微熱(セブン新社・刊)」04年7月号掲載

2012年7月 4日 (水)

シネマニュース■ボーン・レガシー、9月28日公開!

"ジェイソン・ボーン"は、氷山の一角に過ぎなかった──。

〈ボーン〉トリロジーの新たな一章 9月28日、日本公開!!

 <ボーン>シリーズ最新作『ボーン・レガシー』が、9月28日(金)よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショーされる事が決定。全世界累計興収約1000億円の超人気シリーズがスクリーンに戻ってくる。

 極限まで臨場感を追求したアクション・シーンと、ノンストップで展開されるストーリー。それまでの映像表現の限界を打ち破り、その後のアクション映画の新機軸となった<ボーン>シリーズ3部作。最新作『ボーン・レガシー』では、シリーズの出演者とスタッフが再集結し、前3部作と「同じ世界・同じ時系列で展開されていた別の物語」に焦点を当てるという、全く新しい表現テクニックで、ジェイソン・ボーン死闘の裏で[同時進行]していた、更に巨大な陰謀の存在を壮大なスケールで明らかにしていく。

■『ボーン・レガシー』最新映像
BOURNE-LEGACY.JP

<ボーン>3部作が切り拓いたアクション映画の新境地は"通過点"に過ぎなかった─。

 今回の物語の主役であり、ボーンを凌ぐ「最強の暗殺者」アーロン・クロスを演じるのは大ヒットアクション超大作『ミッション・インポッシブル:ゴースト・プロトコル』で凄まじいアクション能力を全世界に見せつけたジェレミー・レナー。さらに、ジョアン・アレンやデヴィッド・ストラザーンといったシリーズの重要人物が再登場し、極秘プログラムを影でコントロールするリック・バイヤー役としてエドワード・ノートンが、そして政府の極秘計画に携わる医師・マルタ役でレイチェル・ワイズが新たに登場。<ボーン>シリーズが更なる進化を遂げる。

CIA最高機密が漏洩した時、国家はすべてを"遺産<レガシー>"にする。

 記憶を失い、愛する者を奪われた最強の元暗殺者"ジェイソン・ボーン"とCIAとの死闘を描いたこのシリーズは、『ボーン・アルティメイタム』によって完結。暗殺者養成のCIA極秘プログラム<トレッドストーン計画>は白日の下に晒され、国家の陰謀は崩壊したはずだった。─しかし、最高機密の漏洩をきっかけに、裏では巨大で恐ろしい陰謀が進行していた・・・。
 リック・バイヤー(エドワード・ノートン)は、このジェイソン・ボーンの機密漏洩によって生じた危機的状態が、CIA長官の身に及ぶ事態を回避するため、プログラムの存在そのものを「抹消」する事を決定。生み出された最高の暗殺者たちと、関わった全ての人物を恐るべき手段で次々と抹殺していく・・・。
 高度な遺伝子操作と人格改造で、ジェイソン・ボーンを遥かに凌ぐ能力を身に着けた暗殺者アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)は、執拗に命を狙う追撃者と対峙しながら、同じ境遇となった医師・マルタ(レイチェル・ワイズ)の情報を頼りに打開策を模索していく。しかしその戦いは、自らの身体に仕組まれた秘密と、驚愕の過去の真実を明らかにするものでもあった─。果たして、ジェイソン・ボーンの死闘の裏側で一体何が繰り広げられていたのか─? CIA最高機密となっていた巨大な陰謀のすべてが遂に明かされる。

■原題:THE BOURNE LEGACY
■監督・脚本:トニー・ギルロイ  『ボーン・アイデンティティー』、『ボーン・スプレマシー』、『ボーン・アルティメイタム』
■製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ジェフリー・M・ワイナー、ベン・スミス
■出演:ジェレミー・レナー 『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』、『ハート・ロッカー』
    エドワード・ノートン 『ファイト・クラブ』、『レッド・ドラゴン』
    レイチェル・ワイズ 『ナイロビの蜂』 ※アカデミー助演女優賞受賞
    ジョアン・アレン 『ボーン・スプレマシー』、『ボーン・アルティメイタム』
    アルバート・フィニー  『ボーン・アルティメイタム』
    デヴィッド・ストラザーン 『ボーン・アルティメイタム』
    スコット・グレン 『ボーン・アルティメイタム』

涼風家シネマクラブ■妖怪百物語

監督/安田公義 特技監督/黒田義之
キャスト/藤巻 潤、高田美和、平泉 征、坪内ミキ子、ルーキー新一、吉田義夫、ほか。
1968年/79分/日本

 大映の妖怪三部作第一弾としてあまりに有名な一作。全体として怪奇な雰囲気の仕上がりとなっているが、からかさお化けのシーンなどでユーモラスな演出もあり、子供の観客にも楽しめる。
 本作の冒頭で「百物語の会」の説明があり、会の終わりにはおまじないをすることが語られ、本編で悪役となる但馬屋が百物語の会の後おまじないをしなかったことで妖怪にたたられるのをさりげなく説明している。同時に古い社を取り壊すなどたたられる要素は複数出てくる。
 二作目、三作目にも登場する妖怪のほとんどは本作で登場しているが、造形そのものは使い回しということではなかったようだ。ちなみに本作でインパクトのあるエピソードになっているろくろ首は『妖怪大戦争』に登場しているものの方が肌の質感などはいいようだ。妖怪のデザインは水木しげるがほとんどを担当し、一部大映映画の『赤胴鈴之助』に登場したものを改造したりしたものもあったようだ。
 この時期、テレビではアニメの『ゲゲゲの鬼太郎(白黒)』の放送も始まり、怪獣ブームから妖怪ブームに移行していくことになるのだが、本作もそのきっかけのひとつになったのはいうまでもない。アニメに登場する妖怪たちの実写版といえなくもないという気がする。ちなみに怪獣ブームの中で放送された水木しげるの『悪魔くん』にはブームの影響から怪獣のような妖怪が登場していたが、ゴジラと人気を二分するガメラを生み出した大映から妖怪ブームのきっかけとなる本作が、水木しげるのデザインで映像化されたのも面白い。
 また落語ファンには但馬屋で催される百物語の会に登場する林屋正蔵も見逃せないだろう。ここで語られるエピソードとして登場する「おいてけ堀」のシーンは本作のなかでも印象に残るもののひとつ。正統的な怪談といえるだろう。
 印象に残るといえば三作共通していえるものだが、ラストシーンの百鬼夜行だろう。本作で描かれるそれは「百鬼夜行図」の映像化ともいえるもので、まさに怪奇な雰囲気とユーモラスな雰囲気が融合した見事なシーンといえるだろう。
 公開時の併映は『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』で、予算的にも厳しくなったガメラに比べてしっかり作られた感のある本作でもあるので評判もよく、すぐにシリーズ化が決まったようだ。

2012年7月 3日 (火)

涼風家シネマクラブ■リンダ リンダ リンダ

監督/山下敦弘
キャスト/ペ・ドゥナ、前田亜希、香椎由宇、関根史織、ほか
2005年/日本/114分

 高校の文化祭前日、軽音楽部の女生徒たちにひとつの問題が持ち上がっていたところから物語は始まる。メンバー間のトラブルで文化祭でのライブが棚上げになってしまったのだ。こじれた気持ちは解消できないまま、新しくボーカルを迎えて「ブルーハーツ」のコピーをやることに決めた3人だったが、勢いでメンバーに誘ったのは韓国からの留学生、ソンさんだった。日本語もままならない留学生をボーカルにくわえた女の子たちが、2日間でステージに立てるのか、ハラハラドキドキのストーリーが進んでいく。 個人的に高校時代に一般的な文化祭がなかったこともあって、この映画で描かれているような文化祭の雰囲気というのは、友達の学校に遊びに行ったときにしか味わっていないこともあって、一種の憧れのような感情もある。イベントに向けての準備、当日の盛り上がり、ざわついた校内…、懐かしいというよりは、いいなあという感想になってしまう。
 これまた個人的な感想で申し訳ないが自分も楽器を趣味にしているので、映画を観ているあいだ、楽器を演奏したい、歌いたいという感情が沸き上がってきて困った。
 映画はひと言でいって正統派の青春映画と言っていいだろう。4人の女の子たちが文化祭のステージという目標に向かって濃密な時間を過ごしながら、恋愛話もからめて女子高生の日常を描き出している。『ローレライ』でミステリアスな美少女を演じた香椎由宇が、ここでもイイ味を出している。
 現役の女子高生にとって「ブルーハーツ」はすでに昔のバンドだろうが、いまでも人気のある存在でもある。が、女の子のバンドがコピーするのはあまりないことだろう。そこを敢えてやってしまったのは単純に監督のアイデア。初めて曲を聴かされたソンが、自分でも気がつかないままに涙を流すのは印象的だ。
 ちょっと気になったのは間を空けるような長回しがところどころにあること。この作品に限っていえば、わざわざテンポを壊しているようで本当に必要なのか疑問に思ってしまった。でも高校生の時間を表現していたのかもしれない。

・レディースコミック「微熱」(セブン新社・刊)/05年8月号掲載

2012年7月 2日 (月)

涼風家シネマクラブ/新作紹介■あの日あの時愛の記憶

監督/アンナ・ジャスティス
キャスト/ダグマー・マンツェル、アリス・ドワイヤー、マテウス・ダミエッキ、スザンヌ・ロタール、デビィッド・ラッシュ、レヒ・マツキェヴィッチュ、ほか。
2011年/111分/ドイツ

 この映画は、実話を元に作られています。第二次大戦中にポーランドの強制収容所の中で出会った男女が収容所を脱走し、その後生き別れてしまい、70年代になってお互いの生存がわかり再会するというのが、実際にあったことで、本作は細部を多少アレンジしているようですが、概ね実際にふたりが体験したことを映像化したといえます。
 映画では大戦中の収容所、そして脱走しナチスの目を逃れながら暮らすふたりと、終戦後それぞれ相手が死んでしまったと思い込み新しい人生を生きている76年の主人公(女性)とを交互に描きながら進んでいきます。
 収容所での恋と、死んでしまったと思っていた恋人が生きていたことを知り、その所在を探す主人公が、時には息づまるような緊張感と喜びと愛に包まれるひとときによって描き出されていきます。
 映画や流行歌では時に「永遠の愛」などと安易に表現されることがありますが、この映画で描かれるものこそ、確かに「永遠の愛」なのかもしれません。

※8月4日より、「銀座テアトルシネマ」ほか、ロードショー。

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涼風家シネマクラブ■日本誕生

監督/稲垣 浩、特技監督/円谷英二
キャスト/三船敏郎、司 葉子、香川京子、鶴田浩二、平田昭彦、ほか。
1959年/180分/日本

 本作は昭和三十四年度の芸術祭参加作品であり、東宝映画1000本目の記念作品でもある。作品のスケールも大きいが、二部構成、合計180分という大作となっている。
 実はこの作品を観たのはDVDになってから。
 これまで特撮や怪獣関連の書籍などで知っていた本作のイメージといえば三船敏郎演じるスサノオノミコトとヤマタノオロチの対決くらいのもので、特撮シーン自体もあまりないのだろうと思っていたのだが、これはとんでもない誤解で、冒頭のシーンから特撮であり、全編特撮や合成を多用した作品だった。また特撮シーン以外でもロケシーンとスタジオ撮影をうまく組み合わせて画面のスケール感を出している。
 三船敏郎は主人公ヤマトタケルと映画の中で語られる神代の時代のスサノオノミコトの二役。ほかに志村 喬や東野英二郎、三木のり平、榎本健一などそうそうたるメンバーが出演し、宝田 明、久保 明も出演している。
 雑誌や書籍で見ていたヤマタノオロチのスチールは、ゴジラシリーズなどの怪獣と比べて貧弱な印象があったのだが、本編で見るとそのようなことはまったくなく、巨大な大蛇とスサノオとの対決を堪能できる。
 とはいえ本作の特撮では、嵐や火山噴火に伴う地震・地割れといったシーンがより迫力のある映像として印象に残る。公開が1959年なわけだが、70年代に公開された『日本沈没』と比べてもそれほど劣って見えない特撮シーンになっているのではないだろうか。
 第一部と第二部のあいだには「休憩」も入るが、3時間の大作は飽きずに見ることができる。それだけ練られたシナリオともいえるだろう。
 未見の方はぜひご鑑賞ください。

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