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2012年7月19日 (木)

涼風家シネマクラブ■チンパオ

監督/田中新一
キャスト/田村高廣、岩崎ひろみ、金山一彦、大浦龍宇一、徐可心、禹天姿、根岸季衣、ほか
1999年/日本・中国合作/94分

 日中平和友好条約締結20周年を記念して企画された映画である。戦後60年の今あらためて見てほしい作品だ。
 物語は戦時中の中国大陸と、戦後50年が経った熊本が舞台である。戦争中の体験を胸に秘めたまま、故郷の熊本で暮らしてきた相澤(田村高廣)は、忘れられない出来事と、それに深く関わった堀軍曹(金山一彦)の思い出を辿るために、中国・桂林へと旅立つ。
 日本が中国に対して行った戦争という凄惨な行為と、兵士としてその場にいた者が戦後数十年間背負い続けてきた罪の意識がこの映画では描かれる。「戦争」が悪いのであって、ひとりの兵士でしかない主人公が罪を負う必要はないと相澤の孫娘(岩崎ひろみ)は言うが、その戦争をしていたのは自分たち兵士だと答える相澤。そして相澤が戦場で体験した、中国人の幼い兄妹とのエピソードが語られていく…。
 戦争末期、食料も不足しがちな日本軍は周辺の村を襲い食料の略奪を繰り返していた。抵抗した村人を射殺することもあり、中国人からさらに憎まれる日本軍のひとりとして相澤はそこにいた。ある日、村にいた子牛を手に入れた相澤たちだったが、その子牛を育てていた幼い兄妹、チンパオとチンホイは子牛を取り戻そうと日本軍の部隊まで追いかけていくのだった。ふたりを説得し村に帰そうとする相澤だが、兄妹の意志は堅く戻ろうとしない。やがて子牛の世話をするということで部隊内の出入りも許される兄妹だが、戦争は束の間の平和さえ許してはくれない。本隊が苦戦し、朝鮮半島まで転進することとなり、相澤の部隊もその地を離れることになった。敵に追われ逃げるように部隊にやって来た中隊長は、子牛を処分し食料にせよと命令を下す。しかし敵を前に逃げることをよしとしない堀軍曹とのあいだでいさかいが起こり子牛と兄妹を逃がした堀軍曹は、上官に逆らったということで射殺されてしまうのだった。
 人が人としての優しさを見失う、戦場という極限状態の中で体験したこの出来事を、相澤は忘れることなく50年の年月を過ごしてきた。毎年、堀軍曹の墓参りを欠かさなかったが、初めて親族と顔を合わせ、墓の中には遺骨がないこと、上官に逆らったとして親族とは別に見すぼらしい墓が建てられていることを知らされ衝撃を受ける相澤。中国への旅は、堀軍曹の遺骨を探す旅でもあったのだ。
 これは映画であり真実ではない。が、戦争というものの悲惨さ、残酷さをこの映画で考えてみてほしい。
◆DVD発売/JVD

初出/「微熱」05年11月号・セブン新社刊

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