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2012年7月10日 (火)

涼風家シネマクラブ■ニュータウン物語

監督/本田孝義

 岡山県にある山陽団地。ここが監督の本田孝義が育った街である。大学進学と共に東京に出て以来ほとんど帰ることのなかったその場所に、監督はカメラを携えて戻ってきた。
 高度成長期にあって「ニュータウン」は希望の街として注目を浴びていた。それがいつしか批判の対象となり、現在では高齢化が進む深刻な状態だ。
「ニュータウン」育ちの監督が、「ニュータウン」とはなんだったのかを問う、というと大上段に構えすぎだろうか。しかし結果はどうであれ、当初の興味はそのことだったようだ。そして旧友たちに再会しながら当時の「ニュータウン」のイメージを探ることから始めていく。
 そう、これはドキュメンタリーなのである。監督はこの作品の前にも『科学者として』というドキュメンタリーを制作する一方、美術館で作品を発表するなどしている映像作家。
 作品中、監督自身が「自分の影を探しているのかもしれない」と独白しているように、映画は「ニュータウン」の姿を描きながらも監督自身の生い立ちをなぞっていく。
 山を切り開いて家を建て、団地を造り多くの人々がそこに移り住む…。全国各地の「ニュータウン」がそうであるように山陽団地も、働き盛りのころに入居してきた人々によって、新しい街としての歴史を誕生させたが、「ニュータウン」は居住者の年齢とともに疲れてしまったかのようにさびれて見える。
 ここに育った子供たちの多くはよその土地に出て行き、残ったのは親たちである。数十年のローンを払い手に入れた土地と建物。1から築き上げた地域社会。しかしそれらは受け継がれることはなかったのかもしれない。
 地方のとある街でありながら、全国どこにでもある歴史と問題を持っている、それが「ニュータウン」なのかもしれない。またかつては地域が一体となって協力し合っていたが、現在ではそれが壊れてしまっているという点では、日本が抱える問題を代表しているようでもある。 監督はこの映画の制作と平行して、山陽団地をテーマにしたアート展を企画・実行する。映画の終盤で描かれるこのイベントの風景は、日本が活気を取り戻すきっかけとして投げかけられているようにも感じられた。
 しかし、本来はもっと気軽な気持ちで見るべき映画なのかもしれない。

「微熱(セブン新社・刊)」04年 月号掲載

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