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2014年10月

2014年10月13日 (月)

新作紹介■TATSUMI マンガに革命を起こした男

涼風家シネマクラブ■TATSUMI

監督/エリック・クー
キャスト/別所哲也(声の出演/ナレーションほか6役)、辰巳ヨシヒロ
2011年/96分/シンガポール

Tatsumi


 本作はシンガポールで作られた日本語のアニメーション作品。原作は辰巳ヨシヒロの自伝的な作品『劇画漂流』と5本の短編作品で、辰巳の自伝に5本の短編作品を挿入するという構成。
 とにかく驚かされるのは辰巳の画がそのまま動いているということ。へんにアニメ用にキャラクターを変更したりすることなく、辰巳劇画の画風をそのまま使っているところに感心する。しかもそれが日本国内ではなく、海外で作られているのだから2度びっくりといったところだ。
 辰巳ヨシヒロは関西出身の劇画家であり、「劇画」という言葉を作った人物。もともとは関西の貸本漫画作家であったが、同郷の仲間たちとこれまでの漫画とは違うもの(児童向け作品ではなく大人も楽しめるシリアスな作品といった方がいいか)を目指し、「漫画」に変わる名称として「劇画」を考案。仲間たちと共に「劇画工房」を結成する(さいとう・たかをも参加していた)。
 これには一般書店で売られる児童向けマンガ雑誌と比べ、貸本漫画の内容が、子供に読ませるには不適切だという当時の批判から、対象読者は児童ではなく大人だという思いもあった(このあたりの細かいことは本映画ではあまり触れられていないし、語ると長くもなるので割愛する)。
 やがて貸本自体が衰退し、辰巳ヨシヒロも雑誌へと活躍の場を広げていく。本映画に取り上げられた5本の短編もそんな時期の作品だ。
 正直漫画が好きだ、漫画を読んでいるという人の間でも辰巳ヨシヒロという名前や作品はあまり知られていないのではないかという気がする。「劇画」の創始者ということもそれほど一般的には知られていないだろう。
 本映画のチラシには「日本だけ知らない」というコピーが入っている。まさにその通りだろう。ある程度の漫画マニアあるいは貸本漫画を読んでいた世代でないと辰巳ヨシヒロという名前や作品はなじみがないのは事実だと思う。
 だからこそ、本映画は多くの人に観てもらいたい。漫画・劇画好きな人はもちろんのこと、あまり興味がないという人にこそ観てほしいと思う。取り上げられた5本の短編作品が、日本の劇画の底力のようなものを感じさせてくれるだろう。

 本作品は2014年11月15日より「角川シネマ新宿」ほかでロードショー公開されます。

2014年10月12日 (日)

涼風家シネマクラブ■サンゲリア

涼風家シネマクラブ■サンゲリア

監督/ルチオ・フルチ
キャスト/イアン・マッカロック、ティサ・ファロー、リチャード・ジョンソンオルガ・カルラトス、ほか
1980年/イタリア/91分
DVD発売/ジェイ・ブイ・ディー

25th

 ジョージ・A・ロメロ監督の代表的な作品『ゾンビ(78年)』の成功によってさまざまなゾンビ映画が制作され、ホラー映画にゾンビもののジャンルが確立されていったが、ルチオ・フルチ監督の代表作『サンゲリア(原題ゾンビ2)』はそれらの中でも群を抜く。
 ストーリーは、ニューヨークに無人のヨットが流れ着き、船内を調べる警官の前にゾンビが出現。ヨットの持ち主である医師の娘アンは、父の行方を求めて新聞記者のピーターとともにカリブ海の小島マツールへと向かう。その島では奇病が発生しており、死んだ人間が蘇り人を襲っていた。島のただひとりの医師メナードはその原因を科学的に明らかにしようと研究を続けていたが、何もわからないままピーターたちともどもゾンビに襲われてしまう。なんとか島を抜け出したアンとピーターだったが、ヨットのラジオから流れてきたニュースには…。
 というまっとうな展開。フルチ作品はただ残酷シーンが強調されているような評価がされているがこの『サンゲリア』に関していえば映画として成立しているといえるだろう。もちろんゾンビに襲われる人間が内蔵むき出しにされて喰われてしまったりするようなシーンもあり、まだスプラッターなんていう言葉もなかった時代にショッキングな映像ではあったかもしれないが、今日の目で見れば刺激度はそれほどでもない。まあこの映画を有名にしている目に木片が刺さるシーンに関しては、上映されて25年も経った今でも新鮮であるのは事実だが。
 ロメロ監督が提示した「ゾンビ」というホラーの新しいキャラクターをフルチ流に解釈し、ゾンビ伝説の源流であるブードゥー教をからませている点では、こちらの作品のほうが正統的なホラー映画であると言ってもいいのではないか(ロメロのゾンビはその解釈においてはやはりSFだろう)。ゾンビ映画というとどうしてもスプラッター的な傾向が強く、怖がらせるということよりも気分を悪くさせるのが目的のような印象があるが、『サンゲリア』では人間を襲うという身体的な恐怖を強調するためにスプラッター的なシーンを用意しているのであってホラー映画のセオリーには合うのだ。
 イタリア的と言っていいのかもしれないが、美女がふんだんにヌードを披露し血まみれになるという点でも、ある種ホラーの王道という気がしないでもない。またカリブの美しい海の中にゾンビがいて、サメと対決してしまうシーンもほかでは見られない面白さがあった。

初出/「微熱」05年9月号・セブン新社

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2014年10月11日 (土)

涼風家シネマクラブ■デアボリカ/DIABOLICA

涼風家シネマクラブ■デアボリカ/DIABOLICA

監督・脚本/オリヴァー・ヘルマンキャスト/ジュリエット・ミルズ、ガブリエレ・ラヴィア、リチャード・ジョンソン、ニーノ・セグリーニ1973年/イタリア/107分
[DVD発売/JVD]

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 70年代後半の映画界には『エクソシスト』によってオカルトブームが巻き起こり、『ジョーズ』などの動物パニックといった見るものを怖がらせる、驚ろかせるといった内容の作品が数多く制作された。今回紹介するイタリア映画『デアボリカ』もそんな作品群のひとつとして知られているが、その企画自体は『エクソシスト』の公開に先立って進められていたという。
 ストーリーはふたりの子供と優しい夫と暮らすジェシカが、予定外の妊娠をし、その胎児が異常と呼べるほど成長が早い上に、ジェシカ自身にも数々の怪現象が起こり、実はジェシカの中には悪魔が宿っていた、というもの。
 読者の中には気がついた方もいるだろうが、そう『ローズマリーの赤ちゃん』という同じようなテーマの映画がある。『デアボリカ』は『ローズマリーの赤ちゃん』を『エクソシスト』のテイストで制作し、パニック映画ばりの音響で臨場感を演出した作品なのだ。この音響効果はのちに『サスペリア』でも使用されたそうだ。
『エクソシスト』とまったく異なるのは悪魔の存在を信じ、物語の重要な登場人物となっているのが神父ではなく悪魔崇拝者であるという点だろう。彼は自動車事故ですでに死んでいるのだが、悪魔の力によって、自分がジェシカから生れるのを手助けすれば新しい命を与えてやろうと言われている。
『エクソシスト』的な怪現象が次々と起こる中でもジェシカの夫や友人の医師は単純に「これは悪魔の仕業に違いない」なんてことは思ったりしない。あくまで常識的な人物として描かれ、ある意味映画を見るものにとってはじれったくもある。悪魔のような超自然的な存在を否定しながら、否定しきれない状況に直面して、彼らが悪魔を信じたかといえばその点は曖昧になっている。その意味で超自然的なものと常識的なものがちぐはぐなまま進行してしまっている印象は否めない。その曖昧さをさらにあおってしまうラストシーンが印象的なだけに、残念ではある。

初出/「微熱superデラックス増刊/ヒミツの誘惑体験SP」セブン新社刊

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2014年10月10日 (金)

涼風家シネマクラブ■ハプニング

涼風家シネマクラブ■ハプニング

監督/M・ナイト・シャラマン
キャスト/マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、アシュリン・サンチェス、ほか
2008年/アメリカ/91分

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 ニューヨーク、セントラルパークはいつもと同じ朝を迎えようとしていた。が、何者かの叫び声が響きわたるとありえない光景が園内に広がっていく。それはたったいままで散歩をしていたり談笑していた人々が自ら死んでいくというものだった。同じころ、とあるビルの工事現場でも似たような事件が起こる。作業していた人々が次々と飛び下りてしまうのだ。
 セントラルパークばかりではなく各地で同じような事件が起こると、毒ガスか細菌によるテロではないか、そんな憶測が広がり人々は安全な場所求めて逃げまどう。
 エリオットが化学を教えているフィラデルフィアの高校にも生徒たちを避難させるよう勧告が出される。エリオットは妻を連れ、同僚のジュリアン、その娘ジェスとともに避難することにしたのだが、ジュリアンはブリンストンにいる妻を迎えにジェスをふたりに託して行ってしまう。
 見えない脅威から逃れるため、3人は草原地帯へと、他の人々とともに逃げ込んでいくのだが…。
『シックスセンス』の監督が人類の破滅をイメージして作り上げた最新作。原因のわからない人々の死がいっそうの恐怖を生み出していくようすは、先の見えないいまの世の中を象徴しているようで、リアリティがあります。

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2014年10月 9日 (木)

涼風家シネマクラブ■バンコック・デンジャラス

涼風家シネマクラブ■バンコック・デンジャラス

監督/オキサイド&ダニー・パン
キャスト/ニコラス・ケイジ、チャーリー・ヤン、シャクリット・ヤムナーム、ほか。
2008年/アメリカ/100分

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 プラハで手際よく仕事を片づける凄腕の暗殺者、ジョー。
 彼は暗殺者としての心得を4つ持っていて、そのひとつに「引き際」をあげている。その引き際を感じていたジョーは、つぎの仕事が待つタイのバンコクに飛び、これを最後にしようと考えていた。
 現地で依頼者との間の通信などを受け持つ「運び屋」を探し、街のチンピラ、コンをスカウトする。単に運び屋として利用し、仕事が終われば「処分」するはずだったコンを、弟子として受け入れるジョー。
 いままでの彼のスタイルからは考えられないことだった。
 同じころ、堅気の人間とは接触しないという彼のポリシーを揺るがす、聾唖(ろうあ)の女性薬剤師との出会いは、仕事を引退し平穏な生活をと、彼の心を傾かせていく。
 暗殺率100パーセントの正体不明の暗殺者。そんなジョーが、それまで貫いてきたスタイルとポリシーをちょっと変えてしまったことで、すべてが終局へと向かっていく。

 この作品は監督のパン兄弟が以前制作した『レイン』のセルフリメイクである。耳の不自由な暗殺者が登場する『レイン』からの大胆な設定の変更だが、よりダイナミックなアクション作品に仕上がったといえるだろう。
 主演のニコラス・ケイジも、暗殺者としての孤独な哀愁をにじませた適役といえる。
 また舞台となるバンコクの街も、これまで映画の舞台としてはあまり取り上げられなかった場所でもあり、新鮮さと、街が持つ「舞台」としての魅力を発揮している。
 本作の魅力は、精密機械のように暗殺の技術を披露するジョーと、その反面、人間的な生き方に目覚めていく彼の心理の葛藤だろう。
 弟子にしたコンとの友情、女性薬剤師との日々、それらが孤独な暗殺者を変えていくのだ。

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2014年10月 8日 (水)

涼風家シネマクラブ■新・O嬢の物語

涼風家シネマクラブ■新・O嬢の物語

監督/フィル・レイルネス
キャスト/ダニエル・シアーディ、ニール・ディクソン、マックス・パリッシュミッシェル・ルーベン、ほか

『O嬢の物語』といえばなかば伝説と化したフランスのポルノ小説であり『エマニエル夫人』の監督が映画化したことでも知られている。
 ポルノとはいってもその内容はSMをテーマにしており、サディズム、マゾヒズムそれぞれの官能を主人公Oが体験していく物語である。
 今回、21世紀版の『新・O嬢の物語』では、舞台をアメリカ、ロサンジェルスに移し、主人公Oも、写真家として自立した女性である。しかし経済的な理由から、作品集出版の費用を援助しようというスティーブン卿の申し出を受け入れ、官能の契約を交わすのだ。彼女はアブノーマルなセックスの数々を経験しながら自分の中に眠っていた性への興味に目覚めていく…。そして拘束されてムチで打たれたり、恋人の目の前でほかの男に犯されるなど、通常では体験できない数々のプレイを受け入れていくのだ。
 Oをスティーブンに引き合わせることになる恋人のルネ、彼女の写真のモデルであり、スティーブン等の計画の元、Oにレズプレイを仕掛けるジャクリーンと物語を彩る登場人物たちも魅力的だ。
 特に恋人ルネとのセックス、ジャクリーンとのレズプレイは美しい映像とムーディーな音楽に演出され、官能的であるとともに芸術的だ。じっくりと映し出される愛撫は、映画館のシートに座っていても落ち着かなくなるかもしれない。
 けれどもこの作品には大きな不満が残る。というのも写真集の制作のためにも自分の性欲を追求しようとSMプレイに飛び込んでいくOであるのに、彼女が体験していくプレイはちっとも楽しそうでも気持ちよさそうでもなく、ただの体験にしか感じられないのだ。ストーリー上自ら望んでムチを受けたり、お仕置きを望んだりもするが、M的な快感を求めて…というよりは、それによって契約を継続するためという感じがしてならない。つまりはSMプレイを体験してはみたものの自分の肌には合わない、なんて感じているのではないかと思ってしまう。
 とはいうものの、支配するものと、されるもの。そんなSMの世界を覗いてみたいという女性には、入門として観るにはいいかもしれない。また美しい映像でエロティックなシーンを楽しみたいというのであればオススメできる作品だ。

「微熱」04年7月号掲載

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2014年10月 7日 (火)

涼風家シネマクラブ■赤い風船/白い馬

涼風家シネマクラブ■赤い風船/白い馬

監督・脚本/アルベール・ラモレス
キャスト/パスカル・ラモレス、サビーヌ・ラモレスほか(赤い風船)、アラン・エムリー、ローラン・ロッシュ、ほか(白い馬)
1956年、1953年/フランス/36分、40分

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「赤い風船」はラモレス監督が1956年にカンヌ映画祭のパルム・ドールなど数々の映画賞を受賞した作品。しかし権利問題などから、これまで作品を見られる機会は限られていたそうです。ですが2007年、ようやく問題が解決し、デジタル・リマスター版が再びカンヌ映画祭に出品され、同じ作品の二度の出品という映画史上初の出来事となりました。
 その作品に感銘を受けたり影響を受けたりする人が多いようですが、日本でもいわさきちひろが絵本化しているということです。
 物語はパリの少年パスカルが、ある日登校途中で赤い風船を見つけ、それを手に入れるところから始まります。風船にはどうやら意志があるらしく、パスカルのあとをついてきたり、言うことを聞いたりします。やがてその不思議な風船を狙って近所の少年たちが、パスカルを追いかけ始め、風船に石を投げたりするのですが…。
「白い馬」は1953年のモノクロ作品で、南仏カマルグを舞台に、野生の白い馬と少年フォルコの交流を描いた物語。
 セリフはほとんどなく、ときおりナレーションが入りますが、ほとんどは映像と音楽で見せる映像詩的な作品。
 両作品とも1950年代に撮られたものですが、50年前に作られたとは思えないみずみずしさ、映画の面白さが感じられる作品です。とくに「赤い風船」は、意志をもった風船と少年の友情という見方をする限り、その後に作られたさまざまなSFやファンタジー映画と比べても遜色ない、都会のファンタジーといった趣(おもむき)があります。
 セリフがなくても映像で見せることでストーリーは説明できるし、感動も与えられる、そんな映画というメディアが本来持っている力を、改めて教えてくれる作品かもしれません。
 それだけ最近の映画やドラマ、あるいはマンガも、セリフに頼っているものが多いということかもしれませんね。

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2014年10月 6日 (月)

新作紹介■ガンズ&ゴールド

涼風家シネマクラブ■ガンズ&ゴールド

監督・脚本/ジュリアス・エイヴァリー
キャスト/ユアン・マクレガー、ブレントン・スウェイツ、アリシア・ヴィキャンデル、ジャセック・コーマン、ほか。
2013年/109分/オーストラリア

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 オーストラリアを舞台にした作品で、独特の雰囲気が新鮮だ。
 主人公JRが刑務所に収監されるシーンから始まり、その中でブレンダンという男に出会う。刑務所の中のトラブルに巻き込まれたのをブレンダンに助けられ、出所後彼の脱獄を手助けすることになる。そしてJRはブレンダンと共に犯罪に手を染めていくことになるのだが…。
 金塊強奪という大きなヤマでブレンダンとJRその仲間たちは依頼主の裏切りにあってしまう。そして警察からも追われながらブレンダンとJRは金塊を取り戻すために計画を進めていく。
 親子のような関係の中で、ブレンダンとJRは時には意見を戦わせ、時には信頼し合う。しかし最後には…。
 フィルム・ノワールとはいえラストはさわやかな印象を持つ本作。ぜひご覧ください。

 本作は2014年11月1日、「シネマサンシャイン池袋」ほかロードショー公開されます。

2014年10月 5日 (日)

新作紹介■ポイントブランク~標的にされた男~

涼風家シネマクラブ■ポイントブランク~標的にされた男~

監督/チャン
キャスト/リュ・スンリョン、イ・ジヌク、ユ・ジュンサン、キム・ソンリョン、チョ・ヨジョン、ほか。
2014年/102分/韓国

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 映画冒頭から主人公が何者かに追われ銃撃されるという緊張感のある展開。すべてはこのファーストシーンの印象のまま進んでいく。というのもこの映画は36時間の中で起こる物語で、スピード感があるからだ。
 これは監督がミュージックビデオを多く手がけてきたという経歴を知ると納得できるところでもある。
 さらにはストーリーの深みも観る者を惹きつけていく。
 冒頭のシーンでは、主人公が犯罪者のように思えるが、物語が進んでいくうちに、本当の犯人は誰なのかという謎が生まれ、やがてそれは大きな陰謀の中に隠されていることがわかっていく。
 非常に抑えた演技が印象的なリュ・スンリョンは、あたかも高倉 健のようなイメージだ。物静かでありながら、ここという場面では的確なアクションを見せてくれる。
 また女性刑事として登場するキム・ソンリョンも印象に残る。上層部から捜査の任を外されながらも部下と共に犯人を追うタフな女刑事だ。
 本作に関してはちょっとしたことでもネタバレになってしまいそうな気がして多くを語れない。ぜひ本編をご覧いただきたい。損をしない、観て後悔しない作品である。

 本作は2014年10月11日よりロードショウ公開される。

2014年10月 4日 (土)

新作紹介■ザ・テノール 真実の物語

涼風家シネマクラブ■ザ・テノール 真実の物語

監督/キム・サンマン
キャスト/ユ・ジテ、伊勢谷友介、北乃きい、チャ・イェリョン、ほか。
2014年/121分/日本・韓国

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 2014年最高の感動作品と言ってもいいかもしれない。
 100年にひとりの天才とも称されテノール歌手として注目を集めた矢先、ベー・チェチョルは甲状腺ガンの手術の影響で声帯が麻痺し、歌声を失ってしまう。しかし日本人音楽プロデューサーの友情の下、声帯の手術、リハビリを越えて舞台に復帰していく。
 これは「NHKドキュメンタリー」にも取り上げられた真実の物語を映画化したものです。
 華々しい舞台の映像と失意に落ち込むベーとその家族という陽と陰の映像、そして友人として、一ファンとしてベーの歌声を再び取り戻そうと奔走する沢田幸司。もう一度舞台に立ちたいという願いの中で辛いリハビリに励むベーやそれを支える妻の姿に胸が熱くなります。
 沢田の会社に新入社員として入った美咲(北乃きい)も、社長である沢田に対して自分の思いを率直にぶつけながら、沢田とベーの友情を支えていきます(とはいえ、映画的にはヒロインが必要だったのでしょうけど、いなくてもよかった気がしてしまうのはボクだけでしょうか?)。
 ドイツ、韓国、そして日本と舞台を移しながら描かれる真実の物語は、クライマックスを迎え涙を誘わずにはおかないでしょう。

 本作は2014年10月11日より全国ロードショウ公開されます。
 また10月10日には、本作のモデルであるベー・チェチョルのコンサートが「東京オペラシティ」で開催されます。

2014年10月 3日 (金)

新作紹介■エクスペンダブルズ3 ワールドミッション

涼風家シネマクラブ■エクスペンダブルズ3
 ワールドミッション

監督/パトリック・ヒューズ
キャスト/シルベスター・スタローン、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプス、アールノド・シュワレツェネッガー、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ほか。
2014年/126分/アメリカ

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 ハリウッド、いやそれだけではなく世界的な映画界の大者たちが集結したアクション映画ということで話題をさらった『エクスペンダブルズ』。とうとうシリーズ3作目が公開されます。
 主演はもちろんシルベスター・スタローン。そしてアールノド・シュワレツェネッガーも共演。さらに今回はハリソン・フォードやメル・ギブソンといった大物が参戦しています。
 そんな大物=ベテランたちではありますが、見た目にもいささか年を召されたような印象が…。というのも本作でスタローン演じるバーニーはこれまでのチームを解散させ、次世代の新チームを結成してしまうのです。新たにチームに加わったのはジョン、ルナ、トール、ソーン、マーズの5人。それぞれケラン・ラッツ、ロンダ・ラウジー、ランディ・クートゥア、グレン・パウエル、ヴィクター・オルティスが演じていますが、5人中3人は元・現格闘家ということで、アクションシーンの迫力は抜群! 特に女性であるルナの格闘シーンは必見です。
 本作ではメル・ギブソンが、エクスペンダブルズ創立メンバーでありながら、ダークな道に進み、一度はバーニーに殺された、はずが生きていたという設定で、過去の因縁が絡んだストーリーが展開していきます。
 シャレた会話に派手なアクション。娯楽映画の決定版と言っていいでしょう。

 本作は11月1日よりロードショー公開されます。

2014年10月 2日 (木)

新作紹介■0.5ミリ

涼風家シネマクラブ■0.5ミリ

監督・脚本/安藤桃子
キャスト/安藤サクラ、織本順吉、木内みどり、坂田利夫、ベンガル、津川雅彦、角替和枝、浅田美代子、草笛光子、柄本 明、土屋希望、ほか。
2013年/196分/日本

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 監督自身の執筆による小説が原作の映画であり、3時間を越える大作。
 大まかに4つのエピソードで構成されているのだけれど、時間の長いこともあって4話のドラマを連続してみたような印象もある。
 主人公はヘルパーの女性、山岸サワ(安藤サクラ)で、ある事件に巻き込まれる形で失職し、問題のある老人の押しかけ介護をするようになる。出会う老人たちがそれぞれに問題を持っていて、それに関わっていくのだが、サワが積極的に関わるというよりは、淡々とその日常を観察していくような感じもあり、どこか楳図かずおの『おろち』を思わせる。
 キャストはベテラン俳優たちが集っているが、まあみなさんいい感じにお年をとられて…と思ってしまう。その中でも津川の存在感はやはり大きく、この映画の印象を左右しているだろう。
 介護とか老人という言葉が出てきた時点で、高齢化問題や福祉問題に切り込むような内容を想像されるかもしれない。もちろんそういった問題も含んではいるけれど、本作を見るときにはそういう先入観は捨てた方がいい。ただサワという女性の姿を追い、映画を観終わったあとで考えた方がいいと思う。
 実際、映画鑑賞後にさまざまなことを考えさせられた。その思いは人それぞれに違うだろうが、人の生きざまについて気づかされることがあると思う。

 主演の安藤サクラは監督、安藤桃子の実の妹。ロケは高知県で行われ、その環境にほれ込んだ監督は高知県に移住したという。

2014年11月8日より、有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー公開。

2014年10月 1日 (水)

新作紹介■ニンフォマニアック/Vol.1 Vol.2

涼風家シネマクラブ■ニンフォマニアック NYMPH()MANIAC Vol.1,Vol.2

監督・脚本/ラース・フォン・トリアー
キャスト/シャルロット・ゲンズブール、ステラン・スカルスガルド、ステイシー・マーティン、シャイア・ラブーフ、ほか。
2013年/Vol.1 117分、Vol.2 123分/デンマーク・ドンツ・フランス・ベルギー・イギリス

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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞したトリアー監督の、「色情症」の女性主人公の半生を描いた、ある意味攻撃的な作品。
 というのも内容の大半がセックスシーンといってもいいからだ。
 ストーリーは、ある路地裏で倒れていた主人公ジョーを、通り掛かった初老の男性セリグマンが助け、救急車も警察もいらないというジョーを自宅に連れて行き手当てをし、彼女の話を聞くところから始まる。
「きっとあなたには理解できない」というジョーに、とにかく話してみなさい、と促し、ジョーの長い回想の物語が始まる。
 Vol.1では子供時代から20代のジョーの物語が語られ、性に目覚めたころから初体験、そして性の快楽に溺れていく姿が描かれる。
 回想の途中で現在のジョーとセリグマンの会話が挟み込まれながら、時には渓流のフライフィッシングにジョーの男漁りを対比してみたり、エンタテインメントとしても十二分な仕上がりとなっている。
 Vol.2では監督の主張が前面に出てくる印象があり、ともすれば性の快楽に溺れることをマイナスのイメージで捉えがちな我々に、ジョーのセリフを用いて、性に対する認識を新たにさせてくれる。そう、ジョーはセリグマンと会話を始めたときには自分のことを「悪い人間だ」とも語っていたのだが、回想の中でカウンセリングを受けていた彼女は、カウンセラーに対して「自分は自分」とニンフォマニアである自分を肯定して見せるのだ。
 そのほかにも、回想に登場した黒人を「ニグロ」と呼んだことにセリグマンが異議を唱えると「言葉狩りが民主主義をだめにする」と言わせてみたり、幼児愛好者が登場すると、犯罪に走るものは一部にすぎない、ほとんどの者は妄想の中で抑制しているのだと言わせる。
 性に奔放な女性を主人公におくことで、性の問題だけではなく社会全体の問題を、いま一度根本から問い直してみようというのが本作の根底に流れるテーマなのではないかとも思われる。

 本作のような内容を、女性がどう受け取るのか、ちょっと気になる。と言うのも男性向けのメディアでは本作のような内容を含んだ作品は、例えばコミックなどにも見ることができるのだが、女性向けのメディアでは思いつかなかったからだ。強いて言えば竹宮恵子の『風と木の詩』だろうか。だからといって女性向けではないと言っているわけではない。ぜひ多くの女性に見ていただきたい映画であるのは確かだ。

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※Vol.1は2014年10月11日より、Vol.2は11月1日より、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー公開。

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