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文芸

2011年8月 6日 (土)

涼風家シネマクラブ■裏切りの闇で眠れ

監督/フレデリック・シェンデルフェール
キャスト/ブノワ・マジメル、フィリップ・コーベール、ベアトリス・ダル、オリヴィエ・マルシャル、ほか
2006/フランス/107分

 パリに、闇社会での実力者、クロードというマフィアのボスがいた。表向きはナイトクラブなどの経営者だが、裏では麻薬の密売を初め、さまざまな違法行為で巨額の富を得ていた。
 そのクロードに、偽札の買い取りを求めてきたのが、どこの組織にも属さないフランクだった。彼はジャン=ギィという相棒とふたりで闇の世界を生き抜いているのだった。
 クロードにはいとこがいた。その父親とはマフィアの仲間で、いとこたちもその世界にいるのだが、クロードの目を盗んで自分たちだけで甘い汁を吸おうと企んでいるのだった。
 クロードはいとこに麻薬の密売を任せるが、取引相手の裏切りで銃撃戦になってしまう。裏切ったスイス人の始末を、クロードはフランクに依頼し、フランクは見事にその仕事をやりとげ、クロードの信頼を得てゆく。
 しばらくは穏やかな日々が続くが、クロードが捕まり、3年の服役が決まったことで組織は内側から徐々に崩れだしていくのだった。

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2011年8月 4日 (木)

涼風家シネマクラブ■約束の旅路

監督/ラデュ・ミヘイレアニュ
キャスト/ヤエル・アベカシス、ロシュディ・ゼム、シラク・M・サバハ、ほか。
2005/フランス/140分

 アフリカ、スーダンの難民キャンプ。エチオピア人の母親は、ユダヤ人だけがイスラエルに脱出できると知って、息子をエチオピア系ユダヤ人の女性に託して脱出させる。途中ユダヤ風の名前「シュロモ」と名乗らされることになり、紆余曲折の果て、ある夫婦の養子になる。白人社会のイスラエルで、肌が黒いシュロモは差別されながら育っていく。が、ユダヤ教を勉強し、やがて医師の資格を取るまでに成長していく。
 しかしシュロモは、自分が本当はエチオピア人であることを誰にも言えず、ひとり苦悩し、いまだ難民キャンプにいるであろう母との再会を念願しているのだった。
 エチオピアのユダヤ人をイスラエルに移送するという「モーセ作戦」という史実をもとに、ひとりの青年の成長を描いた作品だが、人種差別、宗教差別など、複雑な社会問題をも描いている。少し前の「歴史」だが、これは今現在の問題でもあるのだ。人は、いつになったら成長できるのだろうか。

「微熱(セブン新社刊)」07年3月号掲載

2011年8月 2日 (火)

涼風家シネマクラブ■夜よ、こんにちは

監督/マルコ・ベロッキオ
キャスト/マヤ・サンサ、ルイジ・ロ・カーショ、ロベルト・ヘルリツカ、ほか
2003年/イタリア/105分

 1978年、イタリアの首相が誘拐され、55日間の監禁の末、殺害された。犯行は「赤い旅団」と名乗る極左武装集団で、この映画はその歴史的事実に基づいている--。
 主人公キアラは「赤い旅団」の若い女性メンバー。この事件では、3人の男性メンバーとともに、首相の監禁場所で生活をともにしている。
 キアラは、犯行に先立って、男性メンバーとふたりで婚約者を装い、監禁に使ったアパートを借り、監禁中も周囲に気づかれることなく、普通の生活を装う。終日アパートに潜伏するメンバーと違って、職場にも通う彼女には、今回の「赤い旅団」の犯行に対する民衆の反発が直に耳に入り、しだいに自分たちのイデオロギーが、労働者の解放、革命につながらないばかりか、民衆の支持も得られていないことを知るようになる。
 監禁され、無力なひとりの老紳士は、やがてパルチザンとして自由を信じて死んで行った父親の姿とダブり、無抵抗な男に死刑を宣告する「赤い旅団」のやり方に疑問を持ち始めるのだが…。

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2011年7月30日 (土)

涼風家シネマクラブ■明日へのチケット

監督/エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ
キャスト/カルロ・デッレ・ピアーネ、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、シルヴィア・ドゥ・サンティス、ほか
2005年/イギリス・イタリア合作/110分

 三人の共同監督による長編映画で、大まかに三部構成にはなっているものの、一本の長編としてまとまってもいる。
 ローマに住む教授は、顧問をしているオーストリアの製薬会社の会議に出るため出張していたが、帰りの飛行機が全便欠航となり、列車で戻ることになった。製薬会社で自分の秘書代わりになっていろいろな手配をしてくれた女性にほのかな恋心を抱く教授。ローマに向かう列車の食堂車で、彼女宛のメールを書くのだが…。教授の周囲の乗客の様子、教授の思いなどが交錯する、まさに列車での旅を実感する最初のエピソードだ。
 次に登場するのは、年配の女性と青年。ヒステリックで図々しい女性の命令に従う青年は、兵役奉仕なのだという。が、女性のあまりの態度に、青年は姿を消してしまう。目的の駅でひとり取り残される女性の寂しそうな姿…。
 最後に登場するのはイングランドからサッカーの試合観戦に来た3人の若者。しかしひとりが切符を失くしてしまい、大騒ぎ。食堂車で知り合ったアルバニアの少年が怪しい、とひとりが言い出すのだが…。
 ヨーロッパを縦断する列車を舞台に、さまざまな人々のさまざまな顔が描き出される感動作品。この映画を観ることで、観客もまた同じ列車で旅をしているような感覚を味わうだろう。

2011年7月23日 (土)

涼風家シネマクラブ■恋人たちの失われた革命

監督・脚本/フィリップ・ガレル
キャスト/ルイ・ガレル、クロティルド・エスム、エリック・ルリヤ、ジュリアン・リュカ、ニコラ・ブリデ、ほか。
2005年/フランス/182分

 本作はモノクロで撮られた3時間に及ぶ作品である。
 時は60年代末。フランスにも学生運動の荒らしが吹き荒れていたころ。詩人を名乗る、主人公のフランソワは革命を信じ、兵役を逃れて学生運動に加わっていたのだが、やがてその革命も、自分が信じたようなものではなくなっていき、フランソワは仲間が集まる館で、ドラッグに溺れる日々を送るようになる。
 そこで出会った彫刻家を目指すリリーという女性と出会い、ふたりは恋に落ちていく。
 映画の構成は複雑で、時に映し出されたシーンが、フランソワの幻覚や夢であったりもする。
 フランソワが出入りし、半ば住み着いている館は、同時代のアメリカであればヒッピー仲間が集まるような場所だろうか。絵描きや詩人といった芸術家を自称する若者たちが集まり、阿片などのドラッグで自己を開放していく。
 最初は、詩を書き、革命を信じて生きるフランソワが自由奔放に見えたが、しだいに彫刻家という具体的な夢を持っているリリーの方が自由に生きていることに気づかされる。フランソワとの恋愛においても、ほかにセックスしてみたい男が現れると、恋人であるフランソワに「彼と寝てもいい?」と聞いたりする。

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2011年7月21日 (木)

涼風家シネマクラブ■恋に落ちる確率

監督/クリストファー・ボー
キャスト/ニコライ・リー・カース、マリア・ボネヴィー、クリスター・ヘンリクソン ほか。
2003年/デンマーク/92分

 ザラついた画面。70年代のフィルムのようだ。そして突然映し出されるクローズアップ。巧妙な台詞回しと撮影で、いつのまにか映画の中に引き込まれる。
 主人公はコペンハーゲンに住むカメラマンのアレックス。シモーネという可愛い恋人がいるのだが、別の女性の夢を見た…と友人に告白する。
 ヒロインはアイメは小説家の夫の公演に付き添ってコペンハーゲンに滞在していたが、夫が仕事でホテルを空けている間、ひとりで街に出てアレックスと出会うことになる。
 アレックスが夢で見た女性がアイメだったのかはわからない…だがアレックスはアイメにひと目惚れし、シモーネを捨ててまでアイメとの愛に生きようとするのだ。
 出会ったふたりが一夜を過ごしたあと奇妙なことがアレックスを襲う。これは夢なのか、あるいはアイメの夫が書こうとしている小説なのか…、映画を見ているものは混乱の中で、アレックスとアイメの恋の行方から目が離せなくなる。

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2011年7月16日 (土)

涼風家シネマクラブ■イースタンプロミス

監督/デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト/ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、ほか。
2007年/イギリス・カナダ/100分/[R-18]

 助産師のアンナが働くロンドンの病院に身元不明の女性が運び込まれてくる。女性は出産間近だったが胎盤剥離で出血していた。緊急手術で子供は助かったが、女性は亡くなってしまう。
 アンナは女性のカバンに入ってたロシア語で書かれた日記を頼りに身寄りを探そうと試みる。というのもアンナ自身、父親がロシア人で、ロシア人の伯父もロンドンに暮らしていた。とはいえアンナ自身はロシア語が読めない。日記にはさまれていたロシア料理店の名刺を手がかりに、女性の身元を探そうとしたのだが、そのロシア料理店の経営者こそが悪名高きロシアン・マフィア「法の泥棒」のボスだった。

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2011年7月14日 (木)

涼風家シネマクラブ■ある子供

監督・脚本/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
キャスト/ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガルド、オリヴィエ・グルメ
2005年/ベルギー=フランス/95分

 20歳のブリュノ。彼は毎日、仲間と盗みをして暮らしている。恋人のソニアとのあいだに子供が生まれたが、父親になった実感のないブリュノは、盗品を売りさばくように、自分の子供を売ってしまうのだった。
 18歳のソニアは、ブリュノから子供を売ってしまったことを聞かされ、ショックで倒れてしまう。警察にブリュノを告発し、子供を取り戻そうとまでする。
 ブリュノは、自分のしてしまったことでソニアを傷つけたことを知り、ことの重大さに気づき、子供を取り戻すのだが生活はあいかわらずで、年下の仲間を使って盗みを繰り返す。
 そんなブリュノに見切りをつけ、子供とふたりで生きていこうとするソニア。
 ブリュノは、へまをして警察に捕まった仲間に面会するため、出頭し、自分の罪を認め、服役することになる。そして服役中の彼に、ソニアが面会に来た…。

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2011年7月 9日 (土)

涼風家シネマクラブ■あの夏の子供たち

監督・脚本/ミア・ハンセン=ラブ
キャスト/キリア・カゼッリ、ルイ=ドー・ド・ランクザン、アリス・ド・ランクザン、ほか。
2009年/110分/フランス

 パリの街並みから始まるこの映画は、続いて主人公である映画プロデューサー家族の父親の姿へ移っていく。
 彼はどこにいても映画関係者や会社のスタッフからの電話の応対に追われているような状態。まさに多忙な日々を過ごしている。反面、週末には家族でパリ近郊の別荘で過ごしたりと、家族への愛情も注いでいる。前半はそんな彼の日常と家族の姿が描かれていくが、同時に彼の映画会社が資金面で窮地に立たされているということもわかってくる。そしてすべてに行き詰まった彼は…ひとりで自殺してしまうのだった。
 そう、この映画は残された妻と3人の娘…家族の物語なのだ。
 莫大な借金を負っている会社を存続させるのか、制作途中の映画だけでも完成させたいと奮闘する妻。しかし長女はそんな母に「お父さんと同じ」と批判的な目を向ける。

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2011年7月 7日 (木)

涼風家シネマクラブ■アダン

監督/五十嵐 匠 脚本/松山善三
キャスト/榎木孝明、古手川祐子、木村文乃、村田雄浩、加藤 剛、ほか
2005年/日本/139分

 幼少のころから天才といわれながら、画壇の重鎮と折り合いが悪く、その作品が日の目を見ることもなく、50歳で奄美大島に移住し、69歳で亡くなるまで、絵を描くことに執念を燃やした孤高の画家・田中一村。この映画は彼の生涯を描いたものである。
 タイトルでもある「アダン」とは、奄美大島に自生する、パイナップルに似た実をつける植物で、一村が愛したモチーフのひとつ。そして風景や植物をスケッチする一村の周囲に現れる、不思議な少女に、一村がつけた名でもある。
 ただ絵を描くだけの一村を支えた、姉の献身的な姿、陰ながら一村を応援する美術学校当時の友人・荒木。一村姉弟を見守る医師・住友など、さまざまな人々が、一村の才能を認め、彼の創作を支え続けていく。
 例え画壇が認めなくとも、自分が納得のできる絵を描くのだ、と奄美大島に移住して、自然を相手に筆を取る一村。その情熱は榎本の熱演もあって、胸に迫るものがあるだろう。

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