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洋画

2014年10月10日 (金)

涼風家シネマクラブ■ハプニング

涼風家シネマクラブ■ハプニング

監督/M・ナイト・シャラマン
キャスト/マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、アシュリン・サンチェス、ほか
2008年/アメリカ/91分

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 ニューヨーク、セントラルパークはいつもと同じ朝を迎えようとしていた。が、何者かの叫び声が響きわたるとありえない光景が園内に広がっていく。それはたったいままで散歩をしていたり談笑していた人々が自ら死んでいくというものだった。同じころ、とあるビルの工事現場でも似たような事件が起こる。作業していた人々が次々と飛び下りてしまうのだ。
 セントラルパークばかりではなく各地で同じような事件が起こると、毒ガスか細菌によるテロではないか、そんな憶測が広がり人々は安全な場所求めて逃げまどう。
 エリオットが化学を教えているフィラデルフィアの高校にも生徒たちを避難させるよう勧告が出される。エリオットは妻を連れ、同僚のジュリアン、その娘ジェスとともに避難することにしたのだが、ジュリアンはブリンストンにいる妻を迎えにジェスをふたりに託して行ってしまう。
 見えない脅威から逃れるため、3人は草原地帯へと、他の人々とともに逃げ込んでいくのだが…。
『シックスセンス』の監督が人類の破滅をイメージして作り上げた最新作。原因のわからない人々の死がいっそうの恐怖を生み出していくようすは、先の見えないいまの世の中を象徴しているようで、リアリティがあります。

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2014年10月 9日 (木)

涼風家シネマクラブ■バンコック・デンジャラス

涼風家シネマクラブ■バンコック・デンジャラス

監督/オキサイド&ダニー・パン
キャスト/ニコラス・ケイジ、チャーリー・ヤン、シャクリット・ヤムナーム、ほか。
2008年/アメリカ/100分

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 プラハで手際よく仕事を片づける凄腕の暗殺者、ジョー。
 彼は暗殺者としての心得を4つ持っていて、そのひとつに「引き際」をあげている。その引き際を感じていたジョーは、つぎの仕事が待つタイのバンコクに飛び、これを最後にしようと考えていた。
 現地で依頼者との間の通信などを受け持つ「運び屋」を探し、街のチンピラ、コンをスカウトする。単に運び屋として利用し、仕事が終われば「処分」するはずだったコンを、弟子として受け入れるジョー。
 いままでの彼のスタイルからは考えられないことだった。
 同じころ、堅気の人間とは接触しないという彼のポリシーを揺るがす、聾唖(ろうあ)の女性薬剤師との出会いは、仕事を引退し平穏な生活をと、彼の心を傾かせていく。
 暗殺率100パーセントの正体不明の暗殺者。そんなジョーが、それまで貫いてきたスタイルとポリシーをちょっと変えてしまったことで、すべてが終局へと向かっていく。

 この作品は監督のパン兄弟が以前制作した『レイン』のセルフリメイクである。耳の不自由な暗殺者が登場する『レイン』からの大胆な設定の変更だが、よりダイナミックなアクション作品に仕上がったといえるだろう。
 主演のニコラス・ケイジも、暗殺者としての孤独な哀愁をにじませた適役といえる。
 また舞台となるバンコクの街も、これまで映画の舞台としてはあまり取り上げられなかった場所でもあり、新鮮さと、街が持つ「舞台」としての魅力を発揮している。
 本作の魅力は、精密機械のように暗殺の技術を披露するジョーと、その反面、人間的な生き方に目覚めていく彼の心理の葛藤だろう。
 弟子にしたコンとの友情、女性薬剤師との日々、それらが孤独な暗殺者を変えていくのだ。

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2014年10月 8日 (水)

涼風家シネマクラブ■新・O嬢の物語

涼風家シネマクラブ■新・O嬢の物語

監督/フィル・レイルネス
キャスト/ダニエル・シアーディ、ニール・ディクソン、マックス・パリッシュミッシェル・ルーベン、ほか

『O嬢の物語』といえばなかば伝説と化したフランスのポルノ小説であり『エマニエル夫人』の監督が映画化したことでも知られている。
 ポルノとはいってもその内容はSMをテーマにしており、サディズム、マゾヒズムそれぞれの官能を主人公Oが体験していく物語である。
 今回、21世紀版の『新・O嬢の物語』では、舞台をアメリカ、ロサンジェルスに移し、主人公Oも、写真家として自立した女性である。しかし経済的な理由から、作品集出版の費用を援助しようというスティーブン卿の申し出を受け入れ、官能の契約を交わすのだ。彼女はアブノーマルなセックスの数々を経験しながら自分の中に眠っていた性への興味に目覚めていく…。そして拘束されてムチで打たれたり、恋人の目の前でほかの男に犯されるなど、通常では体験できない数々のプレイを受け入れていくのだ。
 Oをスティーブンに引き合わせることになる恋人のルネ、彼女の写真のモデルであり、スティーブン等の計画の元、Oにレズプレイを仕掛けるジャクリーンと物語を彩る登場人物たちも魅力的だ。
 特に恋人ルネとのセックス、ジャクリーンとのレズプレイは美しい映像とムーディーな音楽に演出され、官能的であるとともに芸術的だ。じっくりと映し出される愛撫は、映画館のシートに座っていても落ち着かなくなるかもしれない。
 けれどもこの作品には大きな不満が残る。というのも写真集の制作のためにも自分の性欲を追求しようとSMプレイに飛び込んでいくOであるのに、彼女が体験していくプレイはちっとも楽しそうでも気持ちよさそうでもなく、ただの体験にしか感じられないのだ。ストーリー上自ら望んでムチを受けたり、お仕置きを望んだりもするが、M的な快感を求めて…というよりは、それによって契約を継続するためという感じがしてならない。つまりはSMプレイを体験してはみたものの自分の肌には合わない、なんて感じているのではないかと思ってしまう。
 とはいうものの、支配するものと、されるもの。そんなSMの世界を覗いてみたいという女性には、入門として観るにはいいかもしれない。また美しい映像でエロティックなシーンを楽しみたいというのであればオススメできる作品だ。

「微熱」04年7月号掲載

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2014年10月 7日 (火)

涼風家シネマクラブ■赤い風船/白い馬

涼風家シネマクラブ■赤い風船/白い馬

監督・脚本/アルベール・ラモレス
キャスト/パスカル・ラモレス、サビーヌ・ラモレスほか(赤い風船)、アラン・エムリー、ローラン・ロッシュ、ほか(白い馬)
1956年、1953年/フランス/36分、40分

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「赤い風船」はラモレス監督が1956年にカンヌ映画祭のパルム・ドールなど数々の映画賞を受賞した作品。しかし権利問題などから、これまで作品を見られる機会は限られていたそうです。ですが2007年、ようやく問題が解決し、デジタル・リマスター版が再びカンヌ映画祭に出品され、同じ作品の二度の出品という映画史上初の出来事となりました。
 その作品に感銘を受けたり影響を受けたりする人が多いようですが、日本でもいわさきちひろが絵本化しているということです。
 物語はパリの少年パスカルが、ある日登校途中で赤い風船を見つけ、それを手に入れるところから始まります。風船にはどうやら意志があるらしく、パスカルのあとをついてきたり、言うことを聞いたりします。やがてその不思議な風船を狙って近所の少年たちが、パスカルを追いかけ始め、風船に石を投げたりするのですが…。
「白い馬」は1953年のモノクロ作品で、南仏カマルグを舞台に、野生の白い馬と少年フォルコの交流を描いた物語。
 セリフはほとんどなく、ときおりナレーションが入りますが、ほとんどは映像と音楽で見せる映像詩的な作品。
 両作品とも1950年代に撮られたものですが、50年前に作られたとは思えないみずみずしさ、映画の面白さが感じられる作品です。とくに「赤い風船」は、意志をもった風船と少年の友情という見方をする限り、その後に作られたさまざまなSFやファンタジー映画と比べても遜色ない、都会のファンタジーといった趣(おもむき)があります。
 セリフがなくても映像で見せることでストーリーは説明できるし、感動も与えられる、そんな映画というメディアが本来持っている力を、改めて教えてくれる作品かもしれません。
 それだけ最近の映画やドラマ、あるいはマンガも、セリフに頼っているものが多いということかもしれませんね。

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2014年9月30日 (火)

涼風家シネマクラブ■ファクトリー・ガール

涼風家シネマクラブ■ファクトリー・ガール

監督/ジョージ・ヒッケンルーパー
キャスト/シエナ・ミラー、ガイ・ピアース、ヘイデン・クリステンセン、ジミー・ファロン、ほか
2006/アメリカ/91分

 1960年代後半、アンディ・ウォーホルのアトリエ「ファクトリー」に、ひとりの女性がやって来た。ウォーホルは彼女に夢中になり、当時制作していた映画に次々と彼女を出演させていく。注目を浴びた彼女は、ヴォーグやライフの誌面を飾った。
 彼女の名は、イーディ・セジウィックという。カリフォルニア州サンタバーバラの旧家に育ち、画家を目指してニューヨークにやってくると、ウォーホルと出会い、ファクトリーの活動に参加する。当時、ウォーホルの作品が認められ始めたこともあり、イーディはファクトリーのミューズとして世間の注目を浴びることになっていく。
 ファクトリーは自由な創作空間であるがゆえに、保守的な人々からは堕落した集団と見られることもあった。その要因のひとつがドラッグだ。
 イーディもドラッグに溺れていってしまう。なにか行動を起こせばメディアが取り上げるような立場になった彼女だが、自身の経済状態は火の車。父親からの援助も打ち切られてしまう。ウォーホルやファクトリーとの関係もしだいに悪くなっていくのだが、そこには新に出会ったミュージシャンとの恋があった。
 当時はずいぶんと騒がれた女性だったと思うが、その活動期間が短かったことと、主な活動媒体がウォーホルの実験的な映画ということで、現在ではあまり知られていないのではないかと思う(不勉強な自分も知りませんでした。ウォーホル自体好きではなかったしネ)。
 イーディは、ドラッグ中毒のため入院し、回復して結婚もしたが28歳という若さで亡くなった。誰が悪いということでもなく、ひとりの若い女性が選択を誤ったということなのだろうけど、誰も彼女を救えなかったというのがいかにも残念で、やりどころのない気持ちで胸が痛くなった。
 今回、当時の雰囲気を再現するためにファッションもビンテージものを使用。取材によりファクトリーも忠実に再現されている。


2014年9月29日 (月)

涼風家シネマクラブ■プライスレス~素敵な恋の見つけ方

涼風家シネマクラブ■プライスレス~素敵な恋の見つけ方

監督/ピエール・サルヴァドーリ
キャスト/オドレイ・トトゥ、ガド・エルマレ、マリー=クリスティーヌ・アダム、ヴァーノン・ドブチェフ、ほか
2006年/フランス/105分

 ホテルのウェイターをしているジャンは、深夜にひとりでバーに入ってきたイレーヌと出会う。彼女はジャンを客のひとりと勘違いし、そのまま夢のような一夜を過ごすことに。それから一年。イレーヌがまたホテルにやって来た。彼女を忘れることができなかったジャンは、また客を装い彼女と一夜を共にするが、それがイレーヌの恋人にバレて彼女は捨てられてしまう。ジャンを頼ろうとしたが、彼がただのウエイターだとわかるとそのまま姿を消してしまうのだった。
 ホテルで失敗し職を失ったジャンは彼女を追ってコート・ダジュールへ。彼女のために高級ホテルに部屋を取り、バッグや靴を買い与えるが、すぐに貯金は底を尽き、彼女も去ってしまう。そこに彼を拾う金持ちの女性が現れた。
 バーやパーティーで金持ちを誘惑し玉の輿を狙うイレーヌ。彼女と同じように金持ちの愛人になってホテル暮らしを始めたジャン。いつしかふたりは同業者になっていくのだが…。
 本当の愛にお金は必要ないというあまりにも古典的なテーマでありながら、軽妙な演出で楽しませてくれる映画。イレーヌを見習ってジゴロを演じるジャンに、思わずニヤリとさせられます。

2014年9月28日 (日)

涼風家シネマクラブ■みえない雲

涼風家シネマクラブ■みえない雲

監督/グレゴール・シュニッツラー
キャスト/パウラ・カレンベルク、フランツ・ディンダ、ハンス=ラウリン・バイヤーリンク、トーマス・ヴラシーハ、カリーナ・ヴィーゼ ほか
2006/ドイツ/103分

 ドイツの田舎町に住む普通の女子高生ハンナ。ちょっと風変わりな転校生、エルマーが気になる女の子の日常を、追いながら映画は始まる。ティーンエイジャーのラブストーリーかと思っていると、突然物語は急転。試験を抜け出して、誰もいない視聴覚室でキスをしていたハンナとエルマーの耳に、原子力発電所の警報が聞こえてくる。
 教室に戻って避難しようとするふたりを、教師は「訓練だから」と止めようとするが、やがて校内放送でも原発事故発生のアナウンスが。
 映画は一転してパニック映画のような様相となり、街を逃げ出す人々を映し出していく。
 自宅に戻る途中で、風の方向を確かめて、「原発に近い街は今ごろ全滅だ」とうそぶくクラスメイト。しかしハンナの母は出張で、その街に行っていたのだった。幼い弟が待つ家に戻り、とりあえず地下室にこもることを決めるのだが、心配していた母からの電話で「今すぐ駅に行って列車に乗りなさい」という指示。が、電話はすぐに切れてしまった。エルマーが車で迎えに来るという約束もあり迷うハンナだったが、弟と自転車で駅に向かうことに。
 道は封鎖され、車で駅に向かっていた人たちで渋滞が起こり、警官隊といまにも衝突しそうな雰囲気。裏道に回って駅に向かうハンナたちだが、幼い弟は事の重大さを理解せず「疲れた」「暑い」とすぐに止まってしまう。
 背後には放射能を含んだ黒い雲がゆっくりとハンナたちの方向に迫ってきていた。もう一刻の猶予もないのだ。
 チェルノブイリの原発事故直後に発表された小説を原作としたこの映画は、すべての原発保有国に身近なテーマであると共に、忘れてはならない危険が、すぐそこにあることを教えてくれる。いつもと変わらない日常が、一瞬にして非日常に変わる瞬間を、見事に描いた作品だ。
 ハンナはエルマーに会えないまま放射能雨に打たれる。ふたりの愛の行方は?

「微熱」2月号掲載/セブン新社刊


2014年9月26日 (金)

涼風家シネマクラブ■ラッキー・ナンバー7

涼風家シネマクラブ■ラッキー・ナンバー7

監督/ポール・マクギガン
キャスト/ジョシュ・ハットネット、ブルース・ウィルス、ルーシー・リュー、モーガン・フリーマン、ベン・キングズレー、スタンリー・トゥッチ ほか
2005年/アメリカ/111分

 仕事をクビになり、恋人に浮気をされたスレヴンは、友人を頼ってニューヨークにやって来た。が、着いたとたんに強盗に顔を殴られ、身分証明書を奪われてしまう。さらに友人の家には誰もいない。そこに砂糖を借りにやって来た向かいの住人、リンジーと出会うのだが、リンジーが帰ったあと、スレヴンはさらなる不幸に見舞われることになる。
 対立するふたつのマフィアから、それぞれ身に覚えのない借金の返済を迫られるのだ。片方の「ボス」からは、相手組織のボスである「ラビ」の息子を殺せば借金はなしにしてやろうと持ちかけられ、スレヴンは、否応なしに殺し屋として行動せざるを得なくなるのだが…。
 それと同時に、腕利きの殺し屋として知られる「グッドキャット」もニューヨークに姿を見せ、ふたりのボスの前にも現れる。
 スレヴンとリンジーはお互いに惹かれ合い、検死官であるリンジーもなにか力になれないかと行動するのだが、スレヴンに残された時間は3日間。うまく殺しができたとしても、警察からもマークされている。さらにはグッドキャットの不気味な影もあった。
 映画は、観るものの予測を裏切るどんでん返しがあり、スリリングで目が離せない。何気なく見ていたシーンがあとで繰り返され、「あのときいういうことがあったのか」と驚かされることも。
 映画の中でブルース・ウィルス演じるグッドキャットが「20年かけて準備した計画だ」と語るシーンがあるが、この映画自体が同じように周到に計画され、練り上げられた脚本によって仕上がっている。ユーモアもあり、ロマンスもある、まさに映画という手法を存分に楽しめる作品と言っていいだろう。
 最初から最後まで、何気ないシーンがあとで真相を語ってくるので、細かいところまでよく見ておいて欲しい。あとは巧みなストーリーに騙されるだけだ。映画を観終わって、「面白かった」と思える爽快な作品である。

レディースコミック「微熱」07年3月号掲載/セブン新社刊



2014年9月25日 (木)

涼風家シネマクラブ■リバティーン The Libertine

涼風家シネマクラブ■リバティーン The Libertine

監督/ローレンス・ダンモア
キャスト/ジョニー・デップ、サマンサ・モートン、ジョン・マルコビッチ、ロザムンド・パイク、ほか
2005年/イギリス/110分

 17世紀のイギリスの放蕩貴族、第二代ロチェスター伯爵を、人気俳優ジョニー・デップが迫真の演技で魅せる。
 映画の冒頭、デップ演じる伯爵はこう語りかける。
「諸君はわたしを好きになるまい」
 そう、腐敗と退廃に身を置きながら、その優れた才能で、国王にも愛された放蕩貴族であればこその、自嘲の言葉だ。
 国王や政権を風刺、ときには誹謗するような詩や劇を書き、幽閉されることもたびたび。しかしその都度国王は、すぐに伯爵を解放する。そこには、伯爵の父によって、自分の命を救われたという過去の負い目もあったと思われるが、それ以上に、愛憎が入り交じった、国王自らの、伯爵に対する思いもあっただろう。
 しかし、伯爵はそんな境遇を利用して、放蕩の限りを尽くしていく。
 そんなとき、芝居小屋で見かけたひとりの女優に心を奪われる伯爵。その女優は、観客からブーイングされるほどに演技がままならないのだが、伯爵は磨けば光るものがあると見抜き、彼女を徹底的に指導する。そして見事に一流女優になっていくのだ。これも実在した女優である。
 妻を愛しているのだが、いっしょにいると裏腹な態度をとってしまう伯爵。娼婦の家や酒場、芝居小屋に入り浸る伯爵に愛想を尽かし、田舎に帰ってしまう妻。しかし、そこで伯爵の帰りをじっと待っている。
 やがて国王の依頼を受けて、フランス大使の前で自作の演劇を披露する伯爵は、その内容から国王の怒りを買って、失脚する。と同時に梅毒に冒されていくのだ…。
 絶望の中でも、彼を支える愛人の娼婦と最後まで仕える妻。
 神を信じず、いや冒涜までしていた伯爵が死を前にして、信仰心を持ったのかは定かではないが、その最期は穏やかなものだった。
 タイトルである「リバティーン」は「放蕩者」という意味。
 またデップはシナリオの最初の3行で、出演を決断したとも言う。貴族としての優雅さと、放蕩者の無頼さを融合した演技が見どころだ。

「微熱superデラックス」06年4月号掲載。


2014年9月24日 (水)

涼風家シネマクラブ■ツォツィ

涼風家シネマクラブ■ツォツィ

監督・脚本/ギャヴィン・フッド
キャスト/プレスリー・チュエニハヤエ、テリー・ぺート、ZOLA、ケネス・ンコースィ、ほか。
2005年/イギリス・南アフリカ/95分

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 南アフリカのヨハネスブルク、そのスラムに住んでいる「ツォツィ」と呼ばれる不良少年のリーダーが主人公だ。体は大きいが人のいいなりに動くアープ、人を殺すことをなんとも思っていないブッチャー、「先生」と呼ばれるボストンらとともに行動している。
 しかしある日、ボストンと口論になり、ひとり仲間から離れるツォツィ。行きずりに車を奪い、女性を拳銃で撃ってしまう。そして奪った車の中には赤ん坊がいた。
 赤ん坊を、そのまま車の中に置き去りにしようとするツォツィだったが、泣いている赤ん坊をどうしても置き去りにすることができず、そのまま自宅に連れて帰るのだった。
 仲間たちにも隠し、ひとりで子供の面倒をみるツォツィ。同じくスラムに住んでいる、赤ん坊とふたり暮らしの女性ミリアムを脅して、母乳を飲ませたりもする。ミリアムは赤ん坊を預からせて欲しいとツォツィに願い出る。
 車の強奪、女性への発砲、そして幼児の誘拐で、警察もツォツィを探し始めていた。
 幼いころ、父親の暴力から家を飛び出し、孤児のように暮らし、不良になって人を殺すことにも抵抗がなくなっていたツォツィに、赤ん坊の存在が人としての心を思い出させていくのだ。
 無駄のないエピソードの積み重ねと、映画の雰囲気にマッチした音楽、そして的確に配されたキャスト、ベタと言ってしまえばベタな印象は否めないが、名作とはこういうものなのではないだろうか。実際、2006年のアカデミー賞で「外国語映画賞」を受賞している。
 成り行きで世話をし始めた赤ん坊だったが、ツォツィは自分の子供のような愛情を感じ始める。封印されていた記憶が少しずつ解凍されていき、人として再生していくツォツィの姿を、ぜひ見て欲しい。
 ちなみに「ツォツィ」とは、「不良」を意味する言葉。本当の名前がなんなのか、そのあたりもこの映画を見ていく上で興味深い使われ方をしているので、お忘れなく。

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